投資レジェンドが教える ヤバい会社

「まじめなインターネット」銘柄を探せ! レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 藤野 英人氏

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「ほぼ日」は、まじめなインターネット企業の代表例

 これは、ファンドマネジャーとして日々、情報収集に明け暮れている立場からより強く感じることでもあります。今、インターネット上の情報は、わかりやすくいえば「スカスカ」です。

 かつてのメディアでは、足で情報を稼いで記事を書く人がたくさんいて、それらの情報には一定の価値がありました。ところが今、ネット上に溢れるコンテンツのほとんどは、誰でもアクセスできるお手軽な情報とそのコピペです。文化的資産として長期的に価値を持つような情報は、効率が悪く儲からないという理由で排除されることが当たり前になってしまっています。このままでは、AI(人工知能)がインターネット上から集めて「これこそ人間の知恵だ」という情報がゴミの山にすぎなくなってしまうおそれもあるでしょう。

 たとえば、著名コピーライターの糸井重里氏が率いる「ほぼ日」が2017年に上場しましたが、まさに「まじめなインターネット」の企業の代表だと思います。インターネットの普及初期から続く老舗ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営を手がけ、収益の中心は「ほぼ日手帳」をはじめとするネット通販ですから、れっきとしたインターネット企業でしょう。

 では、彼らのどんなところが「まじめ」なのでしょうか。ほぼ日の社員たちは(ほぼ日では社員を「乗組員」と呼んでいるところも少し変わっています)、「いいこと、素敵なことを考えて、それを現実にするため」に働いています。収益源であるからといって「手帳をたくさん売る」のが事業目的なのではなく、目指しているのはより多くの人が楽しく素敵な毎日を過ごすためのお手伝いで、素敵な手帳はそのためのツールなのだそうです。

 「まじめなインターネット」企業は、単純に自社さえ儲かればいい、ということではなく、何よりもどんな社会にしたいかというビジョンがハッキリしていること、そして人と人とのつながりを大切にしていることが特徴です。彼らの事業はインターネットを通じて広く共感する人々によって支えられていくため、安定して成長していくでしょう。

 私たちの会社、レオス・キャピタルワークスでもそうした「まじめさ」を今後より一層、大切にしていきます。

 こうした時代だからこそ、私たちが実際に足を運んで全国各地の企業を訪問することは、これまで以上に価値があると思っています。投資の世界でも企業をまじめに調査している人は減りつつあり、その中において手間ひまをかける投資はより大きな意味を持つからです。

 また、私たちが運用・販売している商品は「ひふみ投信」ですが、ほぼ日にとっての「ほぼ日手帳」のように、ひふみ投信を売ることそのものが目的なのではありません。より多くの皆さまに「投資の素晴らしさ」を伝えて日本の社会を元気にしていくことが大きな目的であり、ひふみ投信はそのためのツールだと考えています。手前味噌ながら、その共感の輪は確かに広がっていると実感しています。

藤野英人著 『投資レジェンドが教える ヤバい会社』(日本経済新聞出版社、2017年)第4章「産卵後に死んでしまうサケでなく、メンドリを探せ!」から
藤野 英人(ふじの ひでと)
レオス・キャピタルワークス代表取締役社長。最高投資責任者(CIO)。「ひふみ投信」ファンドマネジャー。

1966年、富山県生まれ。1990年、早稲田大学卒業後、国内外の運用会社で日本株のファンドマネジャーとして活躍。2003年、レオス・キャピタルワークス創業。運用する「ひふみ投信」「ひふみプラス」は、高パフォーマンスをあげ続け、R&Iが選定する「R&Iファンド大賞2017」では最優秀ファンド賞をダブル受賞(NISA部門)。明治大学兼任講師。JPXアカデミーフェロー。主な著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『ヤンキーの虎』(東洋経済新報社)など。

キーワード:経営層、管理職、企画、経営、経理、人事、人材

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