投資レジェンドが教える ヤバい会社

"サラリーマン社長"に成長は期待できない レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 藤野 英人氏

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 東芝の問題は特殊なケースではなく、サラリーマン経営者が率いる大企業では似たような問題がいくらでも起こりうるだろうと考えています。

 企業経営において重要なのは「目線の長さ」だというのが、私の持論です。

 オーナー経営者は、トップとしての能力が平凡なものであっても、長期的な視野に立って経営判断を下すことができるという強みがあります。一方、自分の任期が見えているサラリーマン経営者は、どうしても短期的な思考に陥りがちです。

 最近は「不正を防止するにはトップの任期は短いほうがいい」という考えのもとで1年おきにトップが代わる会社も増えてきましたが、短期的な思考が強くなれば、ビジネスパーソンとしていかに優秀な人であっても経営者としてリスクを取るのは難しいものなのです。

社長の保有株比率が高い会社のほうが株価が上昇する

 一般にサラリーマン経営者は、株価に無関心なケースが多いように思えます。オーナー経営者は、自分が一番の株主ですから、株価の上昇や下落には、大変敏感なものです。

 しかし、サラリーマン経営者の場合は、持ち株があったとしてもせいぜい1000株、2000株程度ということもあり、株価の騰落が自分の資産に大きく影響することはありません。そのため、株価への関心が低いばかりか、「株は投機的なもの」といって否定的な見方をする人もいます。

 それと比較すると、ソフトバンクグループの孫正義社長やサイバーエージェントの藤田晋社長は発行されている株の2割、スタートトゥデイの前澤友作社長は約4割近くも保有しています。さらに成長企業として注目の、ウェブマーケティングを手がけるITベンチャー・じげんの平尾丈社長は、自身の資産運用会社での保有分も含めると、保有割合は7割近くに上ります(2016年12月現在)。

 株価を気にする社長かどうかは、これから投資するうえでは非常に重要です。社長の株式保有割合は、株価への関心を見るためのひとつの指標となるでしょう。

 なお、オーナー企業に比べてサラリーマン社長・役員の場合はどうしても株価へのコミットメントが低くなり「事なかれ主義」に傾きがちでしたが、近年はこの問題を是正するために「業績連動型株式報酬制度」を導入する企業も出てきています。これは、業績の達成度に応じて、役員に株式が交付されるというものです。

 これによって株主との利益共有意識を強化することになり、中長期的な企業価値向上を意識することにつながります。

藤野英人著 『投資レジェンドが教える ヤバい会社』(日本経済新聞出版社、2017年)第1章「会社の性格は社長で決まる!」から
藤野 英人(ふじの ひでと)
レオス・キャピタルワークス代表取締役社長。最高投資責任者(CIO)。「ひふみ投信」ファンドマネジャー。

1966年、富山県生まれ。1990年、早稲田大学卒業後、国内外の運用会社で日本株のファンドマネジャーとして活躍。2003年、レオス・キャピタルワークス創業。運用する「ひふみ投信」「ひふみプラス」は、高パフォーマンスをあげ続け、R&Iが選定する「R&Iファンド大賞2017」では最優秀ファンド賞をダブル受賞(NISA部門)。明治大学兼任講師。JPXアカデミーフェロー。主な著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『ヤンキーの虎』(東洋経済新報社)など。

キーワード:経営層、管理職、企画、経営、経理、人事、人材

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