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撤退事例に学ぶ海外市場の攻略法 日本政策金融公庫総合研究所 研究員 金子 昌弘氏

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 少子化に伴う国内市場の縮小が進むなか、大企業だけでなく、中小企業においても海外直接投資への注目が高まっています。しかし、市場環境や文化の違いなどから、撤退を余儀なくされる中小企業も存在します。今回は、あまり語られることのない撤退の実態について定量的に示し、実際のケースをもとに、中小企業が海外投資で留意すべきポイントを解説していきます。

撤退時期は、2010年以降が45.1%

 日本政策金融公庫総合研究所では、海外進出経験のある取引先の協力を得て、2014年10月に「中小企業の海外事業再編に関するアンケート」を実施しました(調査対象945社、有効回答数298社、回答率31.5%)。はじめに、海外直接投資の撤退経験があると回答した企業(88社)に焦点を当て、撤退の実態を定量的に分析した結果を紹介します。

 図表1は、撤退拠点が所在した国・地域を示したものです。これをみると、「中国」が45.3%と最も多くなりました。次に多いのは「北米」(12.8%)ですが、以下9位まで(計33.8%)は、すべてアジアの国々が占めています。撤退企業の業種は、製造業が78.4%となりました。これらは、中小企業の海外直接投資は、アジア向けが多いことや、製造業の割合が高いことを反映しています。

図表1 撤退拠点が所在した国・地域

資料:日本政策金融公庫「中小企業の海外撤退の実態~『中小企業の海外事業再編に関するアンケート』から~」(2015年、以下同じ)<br /></p><p>注:中国は香港・マカオを含む

資料:日本政策金融公庫「中小企業の海外撤退の実態~『中小企業の海外事業再編に関するアンケート』から~」(2015年、以下同じ)

注:中国は香港・マカオを含む

 撤退拠点について、現地に進出・撤退した時期及び現地での活動期間をまとめたものが図表2です。これをみると、進出時期は「2000年代」が40.2%と最も多く、「1990年代」が36.6%で続いています。一方、撤退時期は「2010年以降」が45.1%と最も多く、「2000年代」が43.9%となり、撤退の9割が2000年以降に行われています。中小企業による海外投資が進むにつれて、現地から撤退した企業も多くなっていることがわかります。

図表2 撤退拠点の現地に進出・撤退した時期及び現地での活動期間

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