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ソーシャルビジネスこそ理想の新事業 日本政策金融公庫総合研究所 研究員 楠本 敏博氏

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 わが国にも、社会的問題は数多く存在します。そして、そのすべてを政府や地方自治体に任せるのは財政的に難しいという状況は欧米と変わりません。日本においても今後ソーシャルビジネスが担うべき役割は拡大していくでしょう。

日本ではNPO法人が9割

 では、日本におけるソーシャルビジネスはどういった状況なのでしょうか。昨年、日本政策金融公庫総合研究所が行った「社会的問題と事業との関わりに関するアンケート」の結果をもとに見ていきます。

 なお、社会的問題と言っても様々なものがあります。過疎や少子高齢化など身近なものから、地球環境に関する問題まで幅広く、人によっても何を社会的問題と感じるかはまちまちで、今はまだ知られていない社会的問題もあるかもしれません。

 アンケートでは高齢や心身の障害などを原因とした「社会的排除に関する問題」、過疎、少子化、高齢化、商店街の衰退など「地域社会(コミュニティ)に関する問題」、地球温暖化やオゾン層の保護といった「地球環境に関する問題」、そして「開発途上国の支援に関する問題」の4つを社会的問題として定義しました。

 まず、ソーシャルビジネスに取り組んでいる企業の法人形態を見てみるとNPO法人が約9割を占めており、社会的問題解決の中心的な役割を担っていることがわかります。そもそもNPO法人は、法律で活動領域が決まっており、その多くが社会的問題の解決に取り組んでいると言ってよいでしょう。一方で株式会社など営利企業の形態でソーシャルビジネスに取り組む企業も存在します。

 事業規模についてはソーシャルビジネスによる売り上げが2,000万円未満の企業が47.1%、従業員9人以下が47.2%となっており、規模の小さな企業が多いことがわかります(図表1)。

図表1 ソーシャルビジネスの事業規模

資料:日本政策金融公庫総合研究所「社会的問題と事業との関わりに関するアンケート」(2014年)

資料:日本政策金融公庫総合研究所「社会的問題と事業との関わりに関するアンケート」(2014年)

 取り組んでいる社会的問題としては過疎や高齢化、介護などの「地域社会に関する問題」が最も多く、次いで障害者支援などの「社会的排除に関する問題」が多いという結果になっています。ソーシャルビジネスを始めたきっかけとしては多くの方が「家族や友人、社員など身近に社会的問題の当事者がいたから」と答えています。

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