勝ち抜く中小経営への強化書

国内生産拠点のみで生き残るための戦略 日本政策金融公庫総合研究所 主任研究員 森岡 功氏

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生き残り対策が必要な中小製造業

 ただ、一口に中小企業といっても、置かれた状況に違いがあります。次にこの違いをみてみましょう。図表2は、中小製造業について、海外展開の必要性の有無を縦軸に、海外展開できる能力の有無を横軸に整理したものです。

図表2 中小製造業の状況分類

 このうち、Aタイプは海外展開の必要性があり、かつ、海外展開できる能力を兼ね備えていることから、今後、積極的に海外展開を行えば、新たなビジネスチャンスを獲得できるでしょう。

 また、B、Dタイプは海外展開できる能力の有無に関わらず、海外展開の必要性がないことから、今後も国内拠点のみで事業を継続できると考えられます。実際に、独創的な技術力を有しているとか、特定の市場で圧倒的なシェアを確立しているようなニッチ・トップの中小製造業は一定割合、存在しています。また、地域に根ざした事業を展開しており、海外展開の必要性がない企業も相当数存在するでしょう。

 一方、海外展開の必要性があるものの、海外展開できる能力がないCタイプはどうでしょうか。Cタイプがまさに本稿で焦点を当てたい対象であり、実際に多くの中小製造業がこのタイプに該当すると考えられます。イメージとしては、発注元企業が海外展開しているものの、自社には海外展開するだけの経営資源が不足している下請け製造業です。このタイプの企業は、何かしらの対策を講じないと、将来的に受注の先細りが懸念されます。

期待されるパートナー的存在としての役割

 大企業と比べ、経営資源に制約がある中小企業が海外展開を推し進めていくことは簡単ではありません。先述のCタイプに該当する中小企業が国内でどのように事業を展開していくべきか、はじめに発注元である大手メーカーのニーズをみてみましょう。

 複数の大手メーカーにインタビュー調査を行った結果、国内の下請け中小製造業に対するニーズとして以下の3点が挙げられます。

(1)高度な技術力
(2)広義の品質と提案力(川上から川下に至る全工程を俯瞰し、設計や製造に反映させる力、工程の削減や同一工数での精度向上など生産のあり方について提案できる力)
(3)柔軟な対応力と信頼性

 今後、大手メーカーが海外の現地ローカル企業からの調達を拡大することが見込まれるなか、中小企業には「大手メーカーのパートナー的存在」となることが期待されています。

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