勝ち抜く中小経営への強化書

金融機関との関係構築は業績にプラス 日本政策金融公庫総合研究所 研究員 藤田 一郎氏

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 さらに、この相談頻度を「年1回以下」と「年2回以上」の2区分に再編しました。「年1回以下」を境目にしたのは、金融機関と取引がある場合、企業は毎年の決算書を提出するケースが多く、このタイミングで融資のロールオーバー(借り換え)などを相談することも多いと考えられるからです。さらに金融機関への相談頻度を「10年前」と「現在」の2区分で分けると、図2のとおり4つのグループに類型化することができます。

図2 金融機関への相談頻度によるグルーピング

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営者の事業方針に関するアンケート」(2014年)

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営者の事業方針に関するアンケート」(2014年)

 「相談に消極的」グループは、「10年前」も「現在」も金融機関への相談頻度が「年1回以下」の企業群です。「相談するようになった」グループは、「10年前」の相談頻度は「年1回以下」だったが、現在は「年2回以上」相談している企業群です。つまり、この10年の間に金融機関との関係を構築したグループといえるでしょう。これら「相談に消極的」グループと「相談するようになった」グループの現在の業績の傾向を比較することで、金融機関との関係構築が業績にどのような効果をもたらしているのかを検証できます。

 業績を示す指標は、「10年前」と「現在」の「売り上げの傾向」です。グルーピング前のデータの分布を確認しておくと、「10年前」は「増加傾向」が37.0%、「横ばい」が42.5%、「減少傾向」が20.5%となっています(図3)。「現在」をみると、「増加傾向」が30.5%、「横ばい」が36.4%、「減少傾向」が33.1%となっています「10年前」に比べると、「現在」のほうが「増加傾向」の割合が少なく、「減少傾向」の割合が多くなっています。

図3 売り上げの傾向の分布

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営者の事業方針に関するアンケート」(2014年)

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営者の事業方針に関するアンケート」(2014年)

「相談するようになった」企業の業績はどうなったか

 これまで紹介してきたデータを使って分析します。ここではロジスティック回帰という手法を用いています。ロジスティック回帰分析では、各説明変数の係数の有意性(統計的に意味があるかどうか)と符号(プラスかマイナスか)に注目します。まず、係数が有意であれば説明変数が被説明変数に影響を与えているということになります。その影響の方向性を示すのが、係数の符号です。符号が正であればプラスの影響、負であればマイナスの影響というわけです。

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