勝ち抜く中小経営への強化書

金融機関との関係構築は業績にプラス 日本政策金融公庫総合研究所 研究員 藤田 一郎氏

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「10年前」と「現在」の2時点の変化に注目

 使用するデータについて、「金融機関への相談頻度」は、1年間の金融機関への相談頻度を5つの選択肢(「相談していない(いなかった)」「1回未満」「1回」「2~4回」「5回以上」)から回答してもらいました。「売り上げの傾向」は3つの選択肢(「増加傾向」「横ばい」「減少傾向」)から、「金融機関以外の機関への相談頻度」は、金融機関以外で中小企業に対して経営支援などを行っていると考えられる9つの機関について、それぞれの相談頻度を回答してもらいました。

 このうち、「金融機関への相談頻度」を金融機関と企業のリレーションシップを示す指標とします。相談頻度が高いということは、金融機関との関係が深いと考えられるからです。設問では「経営の相談をしていますか」と尋ねていることから、この「相談」は、企業から金融機関という方向で行われているものと推測できます(※1)。ただし、相談の具体的内容までは尋ねていません。

(※1)そもそも業績に対して金融機関から相談をもちかけている可能性もありましたが、分析の結果、もともと業績が好調な企業も不振な企業も、金融機関への相談頻度が高まった企業が一定数存在することがわかりました。さらに統計手法を用いて「業績の良い企業に金融機関からアプローチした結果、相談頻度が高まった」という仮説を検証しても、有意な因果関係は観察されませんでした。

 データの分布を確認すると、「10年前」は「相談していなかった」が42.2%、「1回未満」が10.6%、「1回」が14.0%などとなっています(図1)。「現在」をみると、「相談していない」が28.4%、「1回未満」が12.2%、「1回」が15.5%となっています。「10年前」に比べると、「現在」のほうが金融機関への相談頻度は高い傾向にあることがうかがえます。

図1 金融機関への相談頻度の分布

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営者の事業方針に関するアンケート」(2014年)

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営者の事業方針に関するアンケート」(2014年)

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