勝ち抜く中小経営への強化書

成果を出すBtoB企業のウェブサイト活用法 日本政策金融公庫総合研究所 研究員 山口 洋平

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思わぬニーズを引き出すきっかけに

 今回ご紹介した事例以外にも、さまざまな工夫により、ウェブサイトを新規顧客開拓手段として活用している企業は多くあります。なかには以下の事例のように、多方面からニーズを引き出せるというウェブサイトの利点を活用し、異業種へ進出した例もあります。

 D社はプラモデル用金型を専門に扱う企業です。もともと、特定の玩具メーカーを中心に取引を続けてきましたが、玩具プラモデル需要の減少により徐々に売り上げが下火となったため、ウェブサイトを通じた新規顧客開拓に取り組みました。

 まず、ウェブサイトでは金型製造に関する高い技術力をアピールするとともに、プラモデルの企画から完成品の提供までワンストップで対応できる点を強調しました。さらに、SEOを行うに当たり、自社の特徴を表し、かつ競合の少ないキーワードとして「プラモデル金型」を選択したところ、検索ページのトップに同社サイトが表示されるようになり、閲覧者が増加しました。

 意外なことに、ウェブサイト経由ではこれまで取引のなかった、異業種からの問い合わせが多く寄せられました。例えば医療機器メーカーからは、営業の説明の際に用いるCTスキャナーのミニチュア模型を作ってほしいという注文が舞い込みました。ほかにもプラモデルのように組み立てられるiPhoneカバー、映画撮影で使われる特注プラモデルなど、ウェブサイト開設以前は把握できていなかったニーズが多く寄せられたそうです。

 現在では売上の約4割がウェブ経由であり、こうした玩具用途以外のプラモデルの売り上げが、同社のもう1つの柱となっています。

 BtoB企業がウェブサイトを活用するにはさまざまな工夫が必要ですが、魅力的な顧客開拓手段であることは間違いありません。これを機に、御社のウェブサイトの活用法を見直してみてはいかがでしょうか。自社の製品や技術に対する思わぬニーズを引き出すきっかけになるかもしれません。

山口 洋平(やまぐち ようへい)
日本政策金融公庫総合研究所研究員。2007年一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了後、中小企業金融公庫(現・日本政策金融公庫)に入庫。東京支店営三事業、釧路支店勤務、経済産業省経済産業政策局調査課出向を経て、2014年より総合研究所にて中小企業の経営や景気動向に関する調査・研究に従事。

キーワード:経営層、管理職、経営、企画、経理、人事、人材、ものづくり、営業、マーケティング

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