勝ち抜く中小経営への強化書

成果を出すBtoB企業のウェブサイト活用法 日本政策金融公庫総合研究所 研究員 山口 洋平

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(2)自社の特徴を「見える化」する

 次に、閲覧に来た潜在顧客を問い合わせに誘導するための仕組みが必要です。ウェブサイトを閲覧する潜在顧客は、その企業が要望に応えられるかを検討し、問い合わせをするか決定します。そのため、ウェブサイトの構築に当たっては、自社の特徴をわかりやすく示し、潜在顧客に判断材料を提供することで、問い合わせにつながるよう仕向ける必要があります。

 ですが、ここに先ほど触れた、「BtoB企業は自社の特徴・技術をわかりやすく示すのが困難である」という問題があります。そこで自社の特徴・技術をウェブサイト上で「見える化」する工夫が必要となります。

 メッキ加工業を営むB社は、機能メッキとよばれる特殊なメッキ加工を得意としている企業です。同社の新規取引の多くは、ウェブサイト経由の問い合わせがきっかけとなっています。

 技術力、開発力をアピールするために、同社のウェブサイトでは、加工事例の写真やメッキの技術的説明などを充実させています。なかでも特徴的なのは、圧倒的な充実度を誇る「メッキQ&A」です。ここでは金メッキや銀メッキといった一般的な加工から、無電解ニッケルメッキといった特殊な加工まで、実際に寄せられたさまざまな悩みや課題に対して、150を超える回答が掲載されています。また、顧客から問い合わせがあり次第、迅速に項目を追加することで、さらなる内容の充実も図られています。

 同社のウェブサイト閲覧者は、仮に自分の悩みに当てはまる回答がなくとも、充実したQ&Aを通じて「この会社なら悩みを解決してくれるのではないか」と考えるため、問い合わせに結びつきやすくなっています。

(3)問い合わせ対応を効率化する

 最後に、問い合わせ対応の効率化も重要なポイントです。検索・閲覧段階で潜在顧客を絞り込んだとしても、やはり受注見込みの低い問い合わせは相応に多くなります。そのため、設計の打ち合わせや見積もりといった人による対応を効率的に処理する仕組みづくりが必要となります。

 板金加工業を営むC社は、小企業としては珍しい大型加工設備を多数保有しており、板金のなかでも長尺・広幅ものの加工を得意としています。現在では売り上げの7割以上が、ウェブ経由の問い合わせをきっかけとした取引です。

 同社は従業員が少ないこともあり、以前はウェブサイトからの問い合わせを受けるたびに顧客から訪問してもらい、加工方法、でき上がりのイメージといった詳細な案を詰めることが多かったそうです。ですが、この方法は顧客の負担になるだけではなく、同社にとっても時間を取られるため、効率的な方法とは言えませんでした。

 そこで同社は顧客対応の効率化のために、YouTube上で自社サイトを開設し、頻繁に使用される加工方法などを実際に撮影した動画を掲載しました。問い合わせがあった顧客に対しては極力、それらの動画をもとに仕上がりのイメージを説明することで、行き来の手間を省くようにしたのです。1度撮影した動画はいろいろな場面で使い回せることもあり、問い合わせに対応する手間は大きく削減されました。

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