勝ち抜く中小経営への強化書

廃業する企業の経営資源を活用する 日本政策金融公庫総合研究所 主席研究員 井上 考二氏

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 また、従業者規模別にみると、「1~4人」は9.8%、「5~19人」は23.7%であるのに対し、「20~49人」は35.7%、「50~99人」は35.2%、「100~299人」は37.7%となっています。規模が大きい企業のほうが、より多くの経営資源を必要とするため、譲り受けることが多いのかもしれません。

引き継いだ経営資源は機械など設備が多い

 続いて、どのような経営資源を引き継いだのか、詳細調査の結果からみてみましょう。

 経営資源ごとの譲り受けたことがある企業の割合は、最も高いのが「機械・車両などの設備」の5.1%です(図2)。次いで、「土地や店舗・事務所・工場などの不動産」と「販売先・受注先」が4.8%、「仕入先・外注先」が4.4%、「製品・商品」と「従業員」が4.0%となっています。これら上位に並んでいる六つの経営資源は、企業を経営するうえで基本となる経営資源といえます。必要とする企業は多く、また、廃業する企業でも多くが実際に保有していた経営資源でしょう。そのため、譲り受けの割合が相対的に高くなっていると考えられます。一方、「免許・資格」(2.1%)や「特許・実用新案などの知的財産」(0.9%)の割合が低いのは、このような経営資源を保有していた廃業企業が少ないことが理由として挙げられます。

図2 経営資源ごとの譲り受けたことがある企業の割合

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営資源の譲り受けに関するアンケート(詳細調査)」(2017年)<br /></p><p>注:1 事前調査における譲り受けた企業と譲り受けていない企業の構成比よりウェート値を算出し、重みづけを行った結果を示している。</p><p>  2 従業員や資金、負債の引き継ぎがあるのは、M&Aや事業譲渡などのように他の経営資源とともに引き継ぐケースがあるためである。

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営資源の譲り受けに関するアンケート(詳細調査)」(2017年)

注:1 事前調査における譲り受けた企業と譲り受けていない企業の構成比よりウェート値を算出し、重みづけを行った結果を示している。

  2 従業員や資金、負債の引き継ぎがあるのは、M&Aや事業譲渡などのように他の経営資源とともに引き継ぐケースがあるためである。

 経営資源ごとに譲り受けの割合が高かった上位3業種を確認すると、機械・車両などの設備は「製造業」(13.1%)、「卸売業」(8.7%)、「飲食店、宿泊業」(7.8%)の順となっています。土地や店舗・事務所・工場などの不動産は「飲食店、宿泊業」(9.3%)や「小売業」(8.4%)、「不動産業」(8.1%)で、販売先・受注先と仕入先・外注先は「卸売業」(それぞれ13.7%、14.8%)や「製造業」(同11.5%、9.0%)、「小売業」(同8.3%、8.8%)でした。

8割の企業が引き継ぎの効果挙げる

 このような経営資源の引き継ぎは、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

 譲り受けについての満足度をみると、「満足している」が53.3%、「どちらともいえない」が34.2%で、「満足していない」は12.5%となっています。また、譲り受けて良かったことを尋ねると、「開業にかかる費用や時間を節約できた」の割合が47.5%と最も高く、「販売先・受注先を確保できた」が35.4%、「仕入先・外注先を確保できた」が28.7%、「事業拡大にかかる費用や時間を節約できた」が25.6%と続きます(図3)。「特にない」の割合は19.3%であり、8割の企業は何らかの点で良かったことがあったと回答しています。

図3 経営資源を譲り受けてよかったこと

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営資源の譲り受けに関するアンケート(詳細調査)」(2017年)<br /></p><p>注:複数回答のため、合計は100を超える。

資料:日本政策金融公庫総合研究所「経営資源の譲り受けに関するアンケート(詳細調査)」(2017年)

注:複数回答のため、合計は100を超える。

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