勝ち抜く中小経営への強化書

介護人材の確保は「サービスの質向上」から 日本政策金融公庫総合研究所 研究員 山田 貴之

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「介護労働実態調査」からみる介護職員の入職理由

 では、採用した人材を定着させるにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。そのヒントとなるのが、介護職員の入職理由です。(公財)介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」から介護職員が現在の仕事を選んだ理由をみると「働きがいのある仕事だと思ったから」が最も多く、「資格・技能が活かせるから」「今後もニーズが高まる仕事だから」と続きます(図2)。

 介護職員は働きがいや専門職としての自尊心を大切にしていることがわかります。介護事業所はこうした介護職員の期待に応える必要があるでしょう。

介護職員の期待に応える

 介護職員は、資格や技能を活かしたい、社会の役に立ちたいと思って介護業界に入職してきます。介護事業所がこうした期待に応えるにはどのような取り組みが有効なのでしょうか。

(1)介護職員を介護の仕事に専念させる

 まず、介護職員が利用者の介護に専念できることが必要です。掃除や事務作業など介護そのものではない周辺業務が多いと、介護職員は働きがいを感じられないでしょうし、専門職として資格や技能を十分に活かすことができないとも考えてしまうでしょう。

 アンケートから介護職員や登録ヘルパーが介護の仕事に専念できているかをみると、「十分できている」企業が30.0%、「おおむねできている」企業が68.3%、「あまりできていない」企業が1.6%、「できていない」企業が0.1%でした。

 介護の仕事に専念できているかと介護職員・登録ヘルパーの定着率との関係を示したのが図3です。

 介護の仕事に専念「できていない」と回答した企業数は少ないので、「あまりできていない」企業と「できていない」企業とをまとめて示しています。定着率が「高い」と答えた企業の割合は、「十分できている」企業では63.0%であるのに対し、「おおむねできている」企業では47.5%、「あまりできていない・できていない」企業では21.7%となっています。

 逆に、定着率が「低い」と答えた企業の割合は、介護の仕事に専念することが「十分できている」企業では5.3%であるのに対し、「おおむねできている」企業では8.8%、「あまりできていない・できていない」企業では37.0%となっています。

 このように、介護職員が介護の仕事に専念できるようにすることは、定着率を高めるために大切な要素であることがわかります。

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