勝ち抜く中小経営への強化書

小さな工夫で大きな価値生む「プラスα」 日本政策金融公庫総合研究所 主任研究員 渡辺 綱介氏

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(2)サプライズ型のケース

 陶器製造のE社は、手間をかけて土鍋でご飯を炊くとおいしい、という固定観念を打ち破り、使い勝手がよく、火力調整などに手間がかからない土鍋をつくり出し、注文に製造が追いつかないほどの人気を呼びました。
 レストランのF社は、おいしい食事に加え、お客を楽しませる一風変わったイベントやサービスを提供し、常連客の心と胃袋をつかんでいます。同店のキャラクターのゴリラのまねをした女性にバナナジュースをプレゼントするサービスなど、挑戦する本人だけでなく、目撃した周りの客も楽しめるものです。

 ミーティングの機会などを活用して取り組みの目的を繰り返し伝え、浸透させた結果、スタッフがアドリブでお客を楽しませたり、面白いサービスを発案したりするようになっています。お客からもアイデアを募っており、採用者には食事券をプレゼントしたり、名前を店内で公表して称えたりといったように、一緒に盛り上がれる仕掛けをつくっています。

 斬新な発想を、と何も構える必要はありません。世の中の固定観念を疑い、ありそうでなかった組み合わせを考えるのも1つの方法でしょう。また、よほどのアイデアマンでない限り、1人で次々に驚きを生み出していけるものではありません。F社のように、スタッフが自主的に発案するような体制づくりをしたり、社外からアイデアを集める仕掛けをつくったりすることが大切です。

(3)コラボレート型のケース

 工務店を営むG社は、浜辺沿いの立地を生かしてバーベキューなどを楽しめるゲストルームを用意し、顧客がいつでも遊びにこられるようにしました。遊びにくる顧客は、親族や友人、同僚など多くの人を連れてきてくれます。彼らの何人かが顧客となり、またそこから輪が広がる、といった好循環が生まれています。既存の顧客と接触するよい機会となるとともに、そこからさらに交流の輪を広げる仕掛けにもなっているわけです。

 中小企業にとって身近な存在である、顧客や地域の人々との交流から取り組みをスタートするとよいでしょう。自社と顧客、地域の人々との交流を手はじめに、その先へ自律的に輪が広がっていく仕掛けづくりができれば、交流の輪は飛躍的に広がります。

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