勝ち抜く中小経営への強化書

「時流」と「自流」で新市場を拓く 日本政策金融公庫総合研究所 主任研究員 井上 考二氏

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 新市場の開拓によって期待できる成果は、その市場における時流の大きさと自流の強さによって、ある程度予想できます。

 時流は大きいほど、影響を受ける人が多くなります。売り上げ増加の余地は大きくなりますが、その存在は多くの人の目に留まります。競争相手は増えてしまい、場合によっては大企業との競争にさらされることもあるでしょう。それでも、自流が強く競争力を発揮できるのであれば売り上げは増やせますが、そうでない場合は厳しい状況に陥ります。何らかの工夫によって競争力を生み出せなければ、新市場の開拓は失敗に終わってしまいます。

 逆に、小さい時流は社会や顧客の動きを注意深く観察していないとなかなか気付かないものです。参入する企業は少なく、激しい競争にはなりにくいです。売り上げ増加の余地は小さいことが多く、大企業の参入も少ないでしょう。自流が少々弱くても顧客を獲得できるし、ライバルとなる企業が少ないことから価格決定力をもてる可能性も高いです。自流の強弱に関係なく、成果を上げやすいといえます。

時流を見つけるポイント

 大きな時流を狙うか、小さな時流を狙うか、いずれにしても、肝心の時流が見つからなければ先には進めません。どうすれば、うまく時流を見つけられるでしょうか。

(1)2時点間の比較をする

 時流とは社会や顧客の動きです。つまり、動態的で何らかの変化を伴うものです。時流を見つけるには、2時点間の比較によってその変化を察知することが基本的な方法といえます。すぐに取り組めるのは、目の前にいる顧客をじっくりと観察することです。さらに、2時点間の比較という意味からすれば、未来を予想することも含まれます。

 もちろん、未来について確かなことはわかりませんが、国が実施している統計や業界団体が調べたデータ、独自のアンケートなど、さまざまなデータを自分なりに分析しながら現状を深く理解すれば、ある程度のトレンドは見えてくるでしょう。

 菓子問屋であるA社の2代目社長は、入社したてのころに取引先の社長から人口構成の将来予測を聞かされ、菓子業界のメインターゲットである子どもの数が減る少子化時代がくることを知ります。以来、インターネットを活用して大人の女性にチョコレートを販売するなど、新たなターゲットに目を向けてきました。

 最近では、インターネットの検索サイトで検索されているキーワードの分析結果から、オリジナルの販促品をつくりたいという企業が多いことに気づき、今後さらにそうした需要が増えるだろうとの判断をもとに、社名やロゴをデザインしたアメを扱う専用のサイトを立ち上げています。

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