勝ち抜く中小経営への強化書

「時流」と「自流」で新市場を拓く 日本政策金融公庫総合研究所 主任研究員 井上 考二氏

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 人口減少や消費の成熟化などに直面している日本では、今後、さまざまな市場が縮小していくと予想されています。すでに売上の減少に苦労している経営者も多いでしょう。しかし、従来とは異なる市場に進出し、新たな顧客層を獲得できれば、中小企業であってもまだまだ売り上げを増やすことは可能です。本稿では進出する新市場を見つける際のポイントについて説明します。

見込みのある市場を探す

 新市場の進出に当たって考えるべきは、どの市場を狙うか、その市場で新たな顧客を獲得できる可能性はあるか、です。この2つをなおざりにしてしまうと、的外れな市場にアプローチをかけてしまい、せっかくの努力が徒労に終わってしまうことになりかねません。

 どの市場が適切かは、2つの「流れ」に乗れる市場かどうかで見極めます。

 1つ目の流れは「時流」です。時流とは時代の流れのことで、言ってみれば「社会や顧客の動き」です。世の中は変化し続けています。良くも悪くも、企業や人はその変化に関わらざるをえず、また、その関わりのなかから新たなニーズが生まれ、関連する市場は活況を呈します。

 近年の例としては、図表のようなものが挙げられるでしょう。こうした時流のある市場では、新たな顧客が見つかりやすいです。成長過程にあったり潜在需要が眠っていたりするため、既存企業がまだ取り込めていない顧客が存在するからです。

図表 時流と関連する市場

資料:筆者作成

資料:筆者作成

 2つ目の流れは「自流」です。これは、自社特有のノウハウや経営資源などを「独自の強みとして発揮」することです。一般的に、時流のあることがわかれば、その市場には多くの企業が参入しようとします。単に時流に乗るだけでは、新たな顧客の獲得は思うようには進みません。

 そこで、例えば、長年にわたる経験や特別な加工ができる機械、高度な技能をもっている従業員などといった、他社がもっていないノウハウや経営資源を、新たな市場においても有効に活用するのです。その結果、他社よりも低コストで、あるいは付加価値を高めて、商品やサービスを提供できれば、競争の強い武器となり新たな顧客を獲得できるはずです。自社の得意なやり方をするだけで自然に競争力を発揮できる市場が、自流に乗れる市場です。

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