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「貿易大国」から落ちた日本の進む道 日本総合研究所 調査部 大泉啓一郎・上席主任研究員に聞く

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 資源小国であっても輸出大国。国土の狭いわが国は、貿易振興で発展していくほかに道はない――。小学校で誰もが教わったであろう日本の「貿易立国」の立ち位置が揺らいでいる。新興国・途上国の急激な追い上げを受け、世界貿易における日本の存在感は大きく後退した。日本総合研究所調査部の大泉啓一郎・上席主任研究員は最新刊の「新貿易立国論」(文春新書)で、そうした日本の現状を分析し、過去の成功経験にとらわれず新たに進むべき成長戦略を示した。カギを握るのは日本の生産拠点が集積している東南アジア諸国連合(ASEAN)だ。

■「日本の競争力は高い」は砂上の楼閣

 ――新著「新貿易立国論」では「日本はもはや貿易大国ではない」と言いきっています。

 「人口規模では世界の3%に満たない日本が、1980年代半ばには世界貿易の輸出シェアが10%台に迫っていました。工業製品に限れば約15%です。しかし2016年度には4%にまで低下しています」

 「貿易収支も11年には、東日本大震災の影響もあって31年ぶりに赤字に転落しました。現在は黒字を回復しましたが、黒字幅は震災前の半分程度です。自動車を中心とする輸送機器や生産機械などの一般機器、電気機器、化学品の黒字がいずれも縮小傾向にあります」

 ――しかし最大の輸出先である対米貿易ではまだ大幅な黒字です。

 「それでも米国の輸入全体における日本のシェアは1986年の22%から30年後の2016年には6%まで縮小しています。85年から92年までは米国最大の輸入国は日本でした。16年では中国、メキシコ、カナダに次ぐ第4位です」

 「日本製品の競争力低下の原因は経済のグローバル化を背景にした中国などの新興国、途上国の台頭です。中国の対米輸出額は16年で4820億ドルと日本の3倍以上、貿易黒字も3660億ドルで5倍以上と存在感を示しています」

 ――その中国は米国に次ぐ世界2位の輸入大国です。

 「ここでも日本のシェアは低下しています。一時的な政治的緊張や中国の成長減速だけが理由ではなく、長期的なトレンドで中国向け輸出の主力である中間財や資本財が減少しています。中国の技術水準が高まり、日本からの輸入に頼っていたのが中国国内で生産することが可能になったのでしょう」

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