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企業の不祥事対応における第三者委員会の活用(1)第三者委設置の判断と人選 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原 信郎

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 昨年来、日産自動車、スバルの完成検査をめぐる問題、神戸製鋼所をめぐる問題を発端とする品質データ改ざん問題、スルガ銀行のシェアハウス融資をめぐる問題など、企業不祥事が相次いで表面化している。不祥事の事実関係の調査・原因究明、再発防止策の策定を求められる不祥事企業にとって、内部調査で対応するのか、外部弁護士を含めた調査を行うのか、第三者委員会を設置するのかは難しい判断である。また、委員会を設置する場合に、委員長・委員をどのように選任するのか、調査体制をどう構築するのかが重要となる。

 そこで、企業の不祥事対応において、第三者委員会の設置、調査体制の構築等の判断はどのように行われるべきか、調査結果が取りまとめられた場合、それをどのように受け止め、どのように対応すべきかなど、第三者委員会の活用をめぐる問題を連載で取り上げることとしたい。第1回の今回は、第三者委員会の「設置の判断」と「委員長・委員の人選」について述べる。

■第三者委員会は、どのような場合に設置すべきなのか

 第三者委員会が設置される典型例は、不祥事等によって、組織の業務執行・意思決定を行う経営陣等が、社会からの信頼を失ってしまった場合であり、既に不祥事が表面化し、それによって企業が社会から批判を受け、経営者に対しても責任追及の声が高まっているという状況である。

 問題が表面化しておらず、経営者に対する批判も生じていない場合には、まずは、内部調査を行うのが原則である。内部調査の客観性を確保するために外部弁護士を調査メンバーに加えることもある。

 また、監査役の独自の調査権(会社法381条2項)に基づく調査という方法もある。監査役は、自ら調査を行うことができるし、その調査を外部弁護士に行わせて、その費用を会社に請求することもできる。

 内部調査の場合、調査の実施や結果の公表は会社執行部の判断による。監査役の調査も、会社の機関として、独自に自らの責任で調査を行うものであり、その結果を監査役の権限行使に活用し、取締役会に報告することが目的である。社外監査役が外部弁護士に委託して調査を行った場合は、調査主体の「外部性」や「客観性」という面では第三者委員会の調査と実質的に変わらない。大きな違いは、調査開始の段階では公表せず、調査結果を踏まえて、問題の重大性やステークホルダーへの説明責任の程度に応じて公表の要否を判断することができる点である。

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