デジタルトランスフォーメーションへの道

ダイドードリンコがIoT自販機を8万台展開するワケ

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特典商品頼みを転換、役立つ情報も提供

 スマイルスタンドのサービスは当初、東京・大阪の大都市圏に800台の対応自販機を試験導入して開始した。基本的には、飲料の購入後に、自販機のパネル部分に専用のアプリを入れたスマホでタッチすると、購入金額1円当たり1ポイントが蓄積される仕組み。ポイントカードがスマホに変わっただけのようにも感じるが、特典が商品だけではないところが違いだ。

 当初提供したのは、蓄積ポイント数に応じて、幅広い商品が当たるスロットくじに応募できる「スマイルスロット(Smile SLOT)」と、子供向け職業体験アプリの「なりきり!!ごっこランド」における「ダイドーの飲料を補充するお仕事体験」の利用権である。

 西氏は「当社の自販機を選んでもらい続けるための面白い体験や価値とはどのようなものか、検討を重ねました。ポイントを単に商品と交換するだけではだめで、お客様に面白いと思ってもらえる情報や体験を提供するインフラとして価値を高めることが必要だという結論に至りました。自販機の既成概念を取り払って、ITの世界のキュレーションメディアのようにしようと考えたのです」と話す。

 さらに2016年9月、対話アプリ「LINE」でスタンプやゲームといった有料コンテンツの購入に使える「LINE ギフトコード」との交換サービスを開始。2017年2月からは、楽天スーパーポイントとの交換も始めた。

 いずれも飲み物の購入で蓄積したポイントを、飲み物とは異なる商品やサービスへ変換するという意外性のある体験により、毎日の飲料購入が楽しくなる仕掛けを作ろうとしたものだ。

 スマイルスタンドのさらなる次の一手は、ポイント提供の仕組みからの脱皮である。リクリートライフスタイルの飲食店情報検索・予約サービス「ホットペッパーグルメ」や美容院情報・予約サービス「ホットペッパービューティー」と連携。2017年9月に、それらサービスが提供する飲食店や美容院などの情報を、自販機で飲料を購入した消費者へスマホアプリ経由で提供できるようにした。

 情報としては、自販機の位置情報をもとに、半径1キロ以内の飲食店や美容院を表示し、店舗によってはクーポンの利用や予約まで可能にした。「初めて訪問した土地で自販機の位置をもとに近隣の情報が得られれば、新しい発見があります。自販機の位置は正確に把握できていますから、必要な情報を適切に消費者へ提供できるインフラになっています」(西氏)。

 さらに2018年5月には、大手コンビニ「ローソン」の商品と交換できるクーポンを抽選で提供することもできるようにした。毎週の購入本数に応じて自動的に応募・抽選され、「大きなツインシュー」「プレミアムロールケーキ」「からあげクン」といったローソンの人気商品が毎週1万人に当たる。

 「毎週金曜日に抽選をすることで、週末のちょっとした自分へのご褒美(ほうび)がもらえる楽しさを提供します。最近はオフィス内に設置する自販機が多く、オフィスで働くビジネスパーソンに自販機の利用とアプリの活用を推進することが狙いです」(西氏)

 こうしたサービスは、20~30代の男性をメーンのターゲットに企画されている。それに加えて子供向け職業体験アプリの利用権は父親である男性の子供にも、シュークリームやケーキはパートナーの女性にも喜んでもらうことを想定しながら、自販機での飲料購入を促すという戦略である。

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