「怒る自分」への対処法

パワハラ防止のために組織が考えるべき2つのポイント アンガ-マネジメントのノウハウ伝授(3)

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 昔は「仕事最優先」という価値観は会社員なら共通のものと考えられていました。ところが、現代は「ワークライフバランスの実現」が就職したい企業の条件として上位にランクされるようになり、人生の優先順位も人それぞれです。私が研修の中で、仕事・家庭・お金・健康・子ども・趣味など、人生の価値観の優先順位をつけるワークをすると、見事にバラバラな答えが出てきます。会社員なら当然「仕事第一」と信じて疑わない上司が、「趣味第一」という価値観の新人に驚愕(きょうがく)。そして、つい「だから甘いんだよ!」と怒鳴ってしまうとアウト。新人は自分の価値観を否定されたと落ち込み、モチベーションダウンになるか、上司の価値観を強要されたと反発し「パワハラだ」となってしまいます。

 今は雇用形態も家庭環境も国籍も多様な人たちが組織の中に存在するダイバーシティ社会です。当然、そこには多様な価値観が存在します。価値観がぶつかり合うことは決して悪いことではありません。しかし、それを受け入れられない組織ではパワハラ行為につながりやすく、組織にとってはマイナスにしか作用しません。

自覚のない上司には「自己認識」を

 アンガーマネジメントでは、価値観を「べき」というキーワードで表現しています。

「残業してでも成果を出すべき」VS.「子どもとの生活を優先すべき」

「上司の言うことには従うべき」VS.「上司といえども間違っていることは正すべき」

 1つの組織といえども様々な「べき」が存在します。どちらが正しいか否かという議論を繰り返しても不毛です。価値観は人それぞれ、自分と上司、部下の価値観は違う、という前提に立つことが重要だと、アンガーマネジメントでは伝えています。

 しかし、これが難しいのです。パワハラしている側には、自覚がないのです。自分の「べき」さえ把握していないからです。

 日本アンガーマネジメント協会が2016年に実施した「怒りの感情が業務に及ぼす影響」に関する調査では、53%の部下が「怒られた上司に対してパワハラだ」と感じている一方で、「怒った上司がパワハラだ」と感じているのはわずか16.7%で、およそ3倍もの認識のずれがあるのです。(※注2)

 このズレを埋めるために、自分の怒り方に問題はないか、アンガーマネジメントで自己理解をしていくのがパワハラ防止のファーストステップとなります。

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