日本的デジタル化の落とし穴

デジタルマーケティングが生んだ光と影とは? 第4回 菅原健一、須藤憲司、土井貴博、アクセンチュアの長谷川匠による座談会

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協力:アクセンチュア

 経営コンサルティング大手、アクセンチュアのコンサルタントが様々な分野のエキスパートと対談し、日本的デジタル化の要諦を探る連載シリーズ。第4回は「デジタルマーケティングの光と影」をテーマに、スマートニュースの菅原健一氏(ラージアカウントセールス責任者兼アドプロダクトマーケティング責任者)、KAIZEN PLATFORMの須藤憲司氏(Co-founder & CEO)、SPIインタラクティブの土井貴博氏(代表取締役CEO)、アクセンチュアの長谷川匠氏(通信・メディア・ハイテク本部 マネジング・ディレクター)による座談会をお届けする。

そもそも10年後に今のビジネスはほとんど形を変える

長谷川 今回はデジタルマーケティングの本質を議論したいと考えています。デジタルマーケティングの主役であるネット広告が、消費者とクライアント企業をつなぐ大きなカギを握るようになりましたが、ここではネット広告をどううまく行うかといった専門的な内容ではなく、日本企業のマーケティングは、これからどう変わるべきかといったところにまで踏み込みたいと考えています。

 まず、デジタルマーケティングに関わるみなさんが感じている消費者やビジネスの変化について語っていただけますか?消費者やビジネスが大きく変化しており、それに伴ってマーケティングもこれまでになく大きく変わっていくように感じています。

須藤 10年後に今のビジネスをそのまま行っている企業は少ないと思います。日本の人口減少は、流通・サービス業に限らず、金融業、製造業など幅広い業種に影響を及ぼすはずです。多くの小売業者は人口減少の本格化に対応して店舗の整理を加速するでしょうし、サービス業者は従業員を採用できず出店さえできない事態に陥っているかもしれません。

菅原 所得格差も広がるでしょう。70万円で販売している高級テレビも、これからは700万円で10分の1の台数販売したり、7万円で10倍の台数販売したりするほうが売りやすくなると思います。高所得の人に高い単価の製品を販売する方向と、低所得の人に低単価で販売する方向に2極化するわけです。

須藤 IT製品や自動車などの産業でサブスクリプション(継続従量課金)型のビジネスが増えているのは注目すべき変化です。

菅原 サブスクリプション型ビジネスについては必ず大きな波がやってきます。クリエイター向けの大手ソフトウエア会社米アドビシステムズは、1パッケージ10万円という売り切り型の販売をやめ、月額数千円といったサブスクリプション型に変えることで売上高や利益を増やし、株価を上げ続けています。サブスクリプション型ビジネスでは、マーケティングも変わり、獲得した顧客の維持に力点が移ります。サブスクリプション型ビジネスが増えるに従い、顧客との関係性維持が重要になります。

須藤 自動車業界においても自動車という製品を販売するのではなく、カーシェアのような月額支払いの会員制サービスによってモビリティー(移動手段)を提供するビジネスが成長しています。自動車業界でさえ、製品を作って売って終わりではなく、サービス化しているのです。

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