天下人たちのマネジメント術

米朝首脳会談、カギは「国交」の駆け引きか

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

■北朝鮮にとって日本は「重要な存在」

 --各国の外交攻勢の中で日本が置き去りにされているのではないかとの懸念も出ています。

 「北朝鮮が脅威を感じているのは経済的に中国に押さえつけられるか、韓国にのみ込まれるかです。中国やベトナムのように、一党独裁体制を維持しながら経済発展を目指す能力は北朝鮮の現体制にもあるでしょう。これまで決断できなかったのは韓国の存在ゆえです」

 「南北交流を通じて韓国側の文化・情報が流入するのを制限したいのが北朝鮮の本音です。一方鉄道、道路などインフラ整備の再建は待ったなしです。中長期的に経済協力を受けるために、北朝鮮にとって日本は重要な存在なのです」

 --日朝首脳会談の実現性はどうでしょうか。

 「日本の内政事情からも大いに可能性はあります。しかし日朝間には拉致問題があります。北朝鮮は解決方法を分かっていないのが現実です。政府間でどんな取り決めをしても当事者の方が『解決した』と考えない限り問題は解消しません」

 --朝鮮半島を巡る情勢が目まぐるしい中で日韓間の懸案は後回しの状況です。近著「ナショナリズムから見た韓国・北朝鮮近現代史」では歴史認識問題などを分析しています。韓国ナショナリズムが日本に比べ弱いと指摘には、逆に感じる読者も少なくないのではありませんか

 「日本は島国という地理的条件もあって、日本人が日本人であることを改めて認識する必要はありません。韓国はいったんは国がなくなり、現在は60年以上も分断国家です。いわば未完のナショナリズムで国としての自らナショナリズムを鼓舞しないと国としての存立基盤が確認できないところがあると考えています」

 --韓国は「中堅国ナショナリズム」の国とも分析していますね。

 「韓国の国民意識は大国でも小国でもないという点が特徴です。国土も狭く、1960年代に世界的にも貧しい発展途上国でしたが90年代には経済的には先進諸国の仲間入りをしました。こうしたケースはあまりありません。シンガポールは都市国家、人工国家です。韓国には変化のスピードが激しく以前からのナショナリズムが対応し切れていない部分がありますね」

 「18世紀からの朝鮮は近代化ナショナリズムと、地政学的に周囲を囲んでいる大国とどう関係を結んでいくかの対大国ナショナリズムが存在し続けています。これは韓国・北朝鮮のいずれも同じで現在の状況もこうしたナショナリズムが影響しています」

 --日本には「韓国はゴールポストを動かす」という批判があります。

 「韓国には小国の時期に主張したい点を自制してきたという思いがあります。共通の認識がないからいつまでも食い違っているのです。共通の競争規則を設ける時期です」

 (聞き手は松本治人)

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。