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米朝首脳会談、カギは「国交」の駆け引きか

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 6月12日にシンガポールでトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との首脳会談が決まったのを受け、焦点は北朝鮮の「非核化」具体案に移った。しかし核カードは金委員長にとって唯一最大の切り札である上、中国など周辺大国の思惑も絡む。これからの交渉は、東アジアのビジネス環境にも大きく影響しそうだ。「ナショナリズムから見た韓国・北朝鮮近現代史」(講談社)を著した木宮正史・東大大学院教授に予想される展開を聞いた。

■イラン核合意離脱が北朝鮮に与えた2つの面

 --米朝首脳会談に向けて情勢が刻々変化しています。

 「会談場所が有力な候補地のひとつであった板門店だったならば、大成功も見込めたのですが。シンガポールでの開催となると事前交渉がそれほどスムーズには進んでいない証拠でしょう。お互いに不満を残しつつ会談が終わるかもしれません」

 --米朝首脳会談では何を注目していますか。

 「非核化に関する合意内容です。しかし範囲、方法、期限など多くの対立点が浮き彫りになっており過剰な期待はできません。非核化のエリアは、まず北朝鮮なのか、それとも朝鮮半島全体か。核兵器の一括廃棄か段階的か、トランプ大統領は次期米大統領選の2020年までの非核化を主張しています」

 「北朝鮮は核兵器や大陸歓弾頭ミサイル(ICBM)の廃棄には応じても、無条件の全面的な非核化は言っていません。北朝鮮の路線変更は本気でも、その本質は変わらないとみます。大国の力を利用しながら、その力に依存しすぎないことが狙いでしょう」

 --米国は核開発技術者の海外移転やデータ廃棄なども含め、完全な非核化へ強い姿勢を崩さないとみられています。

 「1回の首脳会談で全て解決すると考えられず、次回以降の交渉にどうつなげていくかが双方の課題です。会談が決裂するとも考えにくいです。トランプ大統領はイラン核合意から離脱を決断しました。これには両面の意味があります。北朝鮮に対して完全な非核化の保証を求めたブラフ(脅かし)の一方、米朝首脳会談も不調ではトランプ大統領の外交的得点は全くなくなります」