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顧客情報管理、BtoB企業の武器に 慶応大学ビジネススクール・余田拓郎教授

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 4月17日に日本経済新聞社(東京・大手町)で開催された日経BizGateセミナーでは、「顧客管理(CRM)を強化し売り上げを向上させる方法とは」のテーマで専門家らが講演した。慶応大学ビジネススクールの余田拓郎教授は「営業以外の多様な顧客接点の活用がポイントだ」と述べ、BtoB(企業間取引)企業のマーケティング活用を提言した。

■顧客接点、3つのフェーズで整理

 これから「Customer Relationship Management 再考」と題し、BtoBマーケティングについてお話する。効率化や定量化(数値による管理)をどのように進めればよいのか、経営者に必要な視点を考えていきたい。

 BtoBマーケティングには大別して2つの考え方がある。1つは「マーケティング・ミックス管理」。これはBtoC(消費者向け事業)に多く、多様な広告手段を組み合わせる。製品・サービスが標準品であって分散した市場に展開する場合の取り組み方だ。

 もう1つが今日の話題の中心であるCRMだ。製品の需要が特定の顧客層に集中し、サービスや納期も含めカスタマイズ(個別化)されている分野に向く。だが、ここ10年ほどで、従来マーケティング・ミックスの対象であった標準品にも、CRMの考え方が広がりつつある。

 CRMの活用を考える前に、BtoB企業と潜在的な顧客との接点を整理してみる。従来からの営業を中心とした接点がある一方、各種の販促活動やショールーム、ホームページ、紹介記事などがある。第一に考えなければならないのは、これらのツールを顧客接点のステージ(段階)に応じて使い分ける必要があるということだ。広告代理店によるメディアプランニング(媒体の最適化)では当たり前のことであるが、BtoBの場合は営業による人的接触に多くを頼ってきたため問題意識が薄い。営業以外の多様な顧客接点の活用がポイントだ。

 では次に顧客接点のステージを整理する。第1フェーズとして「認知の獲得」がある。インサイドセールス(電話やメールを使う営業)が実施される段階だ。第2フェーズは「信頼の獲得」。提案営業などプッシュ型プロモーションで成約に結びつける。第3フェーズは「愛着・共感の獲得」。製品のアフターサービスを中心にリテンション(顧客のつなぎ留め)に努める。成功すれば、クロスセル(別の製品販売)やアップセル(グレードアップした製品の販売)に展開可能だ。蓄積したCRMデータを「資産」として活用する手腕が問われる。

 第1フェーズで軽視しがちなのが企業ホームページの活用だ。BtoC企業ように活用できないと考えるのは早合点で、実際にはBtoB企業の方が顧客による製品・サービス探索の需要がある。購買検討などでBtoB企業のホームページを訪問する顧客は、ビジネスの目的やニーズがはっきりしている場合が多い。こうした訪問者は、検討から次の行動へと結びつきやすい。

 また、第1フェーズでは顧客との「コミュニケーション目的」と「手段」を網羅して考える必要がある。例えば社名、ロゴなどの知名度向上が目的であるなら広告やPRが適している。顕在顧客の深耕や技術の提案ならセミナーやメールで絞り込んで伝える。

 BtoBマーケティングで先端的な取り組みをしている村田製作所の場合、各メディアの到達力や範囲を想定した上で、網羅的にメディアプランを考え、年間を通じ展開している。BtoBビジネスの現場では珍しいケースだ。多くの企業は単一のメディアに偏り、狭い範囲でマーケティングのPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回しているからだ。

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