愛されシニアを目指すスキルアップ道場

「管理職は偉い」は間違い!意識や考え方を変えよう トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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年齢については「もう」をやめて「まだ」にする

 3つ目は「年齢」に対する意識や考え方を変えることだ。例えば「もう歳だから」といった言葉を使わないようにしたい。

 私自身の反省なのだが、30代になった頃、「ああ、もう30代、歳をとったなあ。20代のようには過ごせない」と思っていた。40代になったら、「もうれっきとした中年だ。みんな若くないと思っているんだろうな」と卑屈な気分になった。いよいよ50代になると、「シミや皺(しわ)も増えたなぁ。みんながもうずいぶん歳とった人だなと思っているんじゃないか」と周囲の目を気にするようになった。

 しかし、考えてみれば、自分で何度も「歳だ、歳だ」と思うのは悪影響のほうが大きい。言葉は魂を持つので、「歳だ、歳だ」と言っていると、自己暗示によって、自分自身がどんどん老け込んでいくように思う。「もう歳だ」という言葉には、「だから、〇〇できない」「だから、〇〇だ」といった諦めや否定的な考えが見え隠れする。これは自分の可能性を自ら狭めているようなものだ。

 先日読んだ本に「加齢と老いは違う」と書いてあった。加齢は年齢が増えることで誰でも年に1回経験するが、それと肉体的・精神的な「老い」は別だと言うのだ。そう言われてみればそうだ。加齢はいい。問題は「老い」だ。「もう歳だ」と言うのをまずやめたい。連載第1回にも書いたが、「50代」は「もう50代」ではなく、「まだ50代」である。

 「もう50代だ」と思うと、挑戦する気持ちもわかないだろうが、人生100年時代だから「まだ50代」と考えれば、新しいことだって始められる。

 以上をまとめると、シニア自身が役職や仕事、年齢などに対する古い意識や考え方を塗り替えること。これが今回お伝えしたかったことだ。こうした古い意識や考え方はときに自分で自分の価値を下げるような不利益をもたらす。無駄な抵抗をやめて「時代の変化に合わせた意識や考え方を持ち、愛されシニアになる」ことは自分自身のためでもある。

 次回は、愛されシニアになるためのコミュニケーション術をテーマにする予定である。

シニアを部下に持つ管理職へのメッセージ

 シニアが年下の上司に対して構えることなく、「管理職を役割として捉えればよい」ということを本論で書いた。それはそうなのだが、そのこととは別に、日本人には、おそらく年齢が上か下かをとても意識する文化・習慣がある。たとえば、「1963年生まれ?早生まれ?遅生まれ?あ、じゃあ、学年は、私のほうが1つ上だね」といった会話を50代になってもするではないか。

 とにもかくにも、管理職が「役割」だと理解できたとしても、年齢の差は変わらない。だから、シニアは、年下の上司にため口をきかれたりすると衝撃を受ける。

 「山田さんさあ、これ、やっといて」などと一回り年下の上司に言われると、「え?」と思ってしまう人が多いはずだ。

 ある若手が管理職になった途端に、年上部下を「クン付け」し始めたことがあった。年上部下は、それがとても面白くない。

 「管理職が役割というのはわかる。だけど、オレを“くん”付けするって、どういうことなんだ?私の方が5歳以上も年上なのに」と憤慨していた。

 この気持ち、とてもよくわかる。

 年上部下に対して、指示や命令は役割上当然だが、それを「ため口」で伝えるのはちょっと違和感がある。できれば丁寧語で話してほしい。私はそう思うし、多くのシニアがそう感じているのではないかと思う。

 そういえば、私は、新入社員時代に、OJT(職場内訓練)で面倒みてくださった先輩が、仕事の話をするときは、かならず「ですます」で話すようにモードを切り替えていることに気づき、感動したことがある。一人の人間として接してくれていると思えたからだ。

 年上部下も仕事の話をする際に、偉そうな言い方、ぞんざいな口のきき方は避けるべきだが、年下上司もできるだけ丁寧な言葉で話してほしいとシニアの一人としてはそう思うのである。結局は、互いに相手に対してリスペクトの念を持って接することがうまくやっていくコツなのだ。
田中淳子(たなかじゅんこ)
1963年生まれ。トレノケート株式会社
シニア人材教育コンサルタント、産業カウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント。1986年日本DECに入社、技術教育に従事。1996年より現職。新入社員からシニア層まで幅広く人材開発の支援に携わっている。著書『ITマネジャーのための現場で実践!部下を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『はじめての後輩指導』(経団連出版)など多数。ブログは「田中淳子の“大人の学び”支援隊!」。フェイスブックページ“TanakaJunko”。

キーワード:人事、管理職、プレーヤー、人事、人材、研修、働き方改革

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