勝ち抜く中小経営への強化書

情報サービス業者 生き残りへの取り組み 日本政策金融公庫総合研究所  研究員  楠本 敏博

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エンドユーザーと接する機会をつくる

 自社開発の製品やサービスを提供できる準備が整ったとしても、ユーザー企業をどのようにして見つけだすかという販路開拓の問題が残ります。顧客からの受託開発を主な業務にしてきた中小情報サービス業者の多くは、エンドユーザーに対する営業活動の経験に乏しく、広告・宣伝や販売のノウハウをもった人材がほとんどいないのが実情といえます。

 他社と連携し、エンドユーザーを獲得しているのがC社です。同社は、電子商取引(EC)のウェブサイトを構築するためのプラットフォームを提供しています。ECを始めようとするエンドユーザーは、同社のプラットフォームを基にウェブサイトを作成しようとする場合、ウェブサイト制作会社に依頼するケースが多くみられます。専門的な知識や技術が必要となるためです。

 そこで営業人員に限りがある同社では、エンドユーザー獲得の貢献度に応じてウェブサイト制作会社にポイントを付与し、ポイント順にウェブサイト制作会社を自社ホームページで紹介する仕組みを設けました。順位が高ければ、エンドユーザーから問い合わせを受ける可能性が高まるため、ウェブサイト制作会社は勉強会やセミナーを積極的に開催するようになっています。また、C社は新たな製品の開発に注力できるようになりました。近年では、人工知能(AI)でインターネット広告の運用管理ができるシステムの開発に成功し、利用実績は5000件を超えています。

 一方、自ら営業活動していくケースでは、エンドユーザーと直接接する機会をつくりだすことが重要となります。特に人員を割くことが難しい中小情報サービス業者が効率的に営業活動をしていくためには、あらかじめターゲットを絞ることが必要といえます。

 ITの利活用が進んでいないといわれる中小企業を顧客としてつかんでいるのがD社です。同社は大手システム開発会社の1次下請けとして、金融機関向けに預金や融資といった基幹業務のシステム開発を手がけています。今後の成長に向け、元請けとしての事業を開始するに当たり、まず、商工会議所が主催する勉強会やセミナーに積極的に参加し、地元の企業とのコネクションを構築しました。その後、ITコーディネーターとともに、中小企業の経営者と面談し、投資額を上回るコスト削減が図れるよう、生産管理をはじめ、顧客のニーズに応じたシステムの開発を提案しています。

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