日本的デジタル化の落とし穴

IoTで勝つには自ら市場を定義し、世界をめざせ 第3回 園田崇、玉川憲、宗像秀明の3氏による鼎談

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協力:アクセンチュア

 経営コンサルティング大手、アクセンチュアのコンサルタントが様々な分野のエキスパートと対談し、日本的デジタル化の要諦を探る連載シリーズ。第3回は「IoT活用で日本企業が勝利するためには何が必要か」をテーマに、様々なデバイスとクラウドが連携するIoTシステムを提供するウフルの園田崇社長と、IoT向けに最適化された通信サービスを手掛けるソラコムの玉川憲社長、アクセンチュアの通信・メディア・ハイテク本部の宗像秀明マネジング・ディレクターの3氏による鼎談をお届けする(司会はアクセンチュア マネジング・ディレクターの古嶋雅史氏)。

技術力の不足か、組織構造の問題か

司会 あらゆるモノがネットにつながるIoTの重要性については多くの日本企業が指摘するところですが、実際にうまく活用している企業となると非常に限られるのではないでしょうか。技術力そのものに問題があるのか、それとも日本企業の旧来型組織とのズレに問題があるのか。今回はその本質的な原因を探っていきたいと思っています。

宗像 IoTという言葉が検索ワードとしてはやったのは2~3年前で、今はピークアウトしているようです。ただ、活用が進んでいないというよりは、実際に活用してみて、現実が見えてきた段階かなと思っています。現在はわかりやすく、顕在的なニーズ、例えばあるデバイスのスポット的なデータを取得するようなニーズが満たされつつある段階。今後は設計と生産、営業といった組織をまたいでデータを共有したり、異なる企業間でデータを共有したりして価値を生み出す方向へと進む。その入り口に立っている段階かと思います。

玉川 そうですね。私は日本企業がIoTを活用して収益をあげていくには、3つの方法があると思っています。1つはクラウドサービスにおける米アマゾン・ドット・コムの「AWS」のように、IoTでの世界的なプラットフォーマーを目指す道。2つ目はIoTのプラットフォームを活用した業界個別のサービスで勝負する道。クラウドで言えば、ネット動画配信の米ネットフリックス、音楽配信の米スポティファイ、配車サービスの米ウーバーテクノロジーズなどですね。3つ目はどちらでもなく、IoTを使って自社の既存ビジネスのコストを削減したり、売り上げを伸ばしたりする道。日本には最初の2つを目指す気概のある企業がどれだけあるか、そして第3の道として現実路線でしっかり結果を出すためには何が必要か、その辺りが課題ではないかと考えています。

園田 私たちが顧客企業とIoT活用のプロジェクトを進めているとき、よく出てくるキーワードに「レトロフィット」があります。全く新しいものをつくるのでなく、今あるものを利活用して効率を上げる場合に使う言葉ですね。そのレトロフィットをする際に、テクノロジーそのものに起因する阻害要因と、組織構造上の意思決定の遅さなどによる要因とを混同することがよくあります。日本企業には組織上の問題が多い一方、ゼロから新しいエコノミーをつくり出すパワーやテクノロジーも問われています。私自身は、日本企業はこのブルーオーシャン(新市場)で戦える地力を十分に持っていると思っています。ただ、「失われた20年」と言われる中で、成功体験が少なく、内向きになっている、いわば「負け癖」がついてしまっています。思い切ってチャレンジすべき時に来ていると思いますね。

宗像 チャレンジ精神が薄れている一方で、収益的にはもうかっている企業が多いのも確かです。成功体験も少ないが、失敗経験も少ない。だからこそ、イノベーションのジレンマに陥る一歩手前にいるのかもしれません。新しい方向へ進まなければいけないと頭ではわかっているけど、体の動かし方がわからない。

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