御社の意思決定がダメな理由

企業を突然死に追いやる「4つの病」

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MDSに罹りやすい日本企業

 経営環境の不確実性が高まっている一方で、社内の事業が複雑化、グローバル化し、「社内なのに、見えない」という現象が同時に起きている(図表2)。

 これは日本企業のグローバル化や複数事業の展開の仕方に大きな原因があるが、一概に批判もできない。なぜなら、日本企業の社員は、均質かつ同質的な優秀さをもっており、これが現場力の強さを支えてきた。確かに、それがこれまでの競争力の源泉だったのである。

 各現場の社員の属人的なオペレーションによって、事業を拡大し、情報システムも含めて、現地ニーズに合わせて作ってきた。かつての「平時」には有効であったが、経営環境がグローバル化して不確実性が増すと、これが仇となってしまう。

 つまり、いざ会社全体の状況を見ようとしても、財務会計は連結決算をするために見えているかもしれないが、現場のKPI(重要業績評価指標)や日々のオペレーションの状況が、しっかりと見えていない、という課題がある。

 グローバルでのトップダウンの意思決定の必要性は高まっている。しかし、現場が強い会社においては、ITシステムも個別ばらばらで、なかなか現状を把握することが難しい。このため、経営企画スタッフが必要な分析を行えず、結果として経営者による判断に問題が生じるのである。

「欧米有力企業との競争に勝てる気がしない」

 筆者は、過去10年来、日本企業の海外進出、海外事業のマネジメントについてさまざまなコンサルティングプロジェクトならびにR&D(自主研究)を継続してきた。

 特に2010年以降、日本の大手企業経営者(役員以上)とのインタビューを行うと、グローバル有力企業と自社の経営力の格差について深い問題認識があると聞かされることが多い。

 経営者も困っており、この状況を打破しなければならない。しかし、その「突破口」がわからないままでいる。

 以下、いくつかの究極的な「悩み」あるいは経営者の「ホンネ」を挙げてみたい。

「個別改革の積み上げで、当社がグローバルで勝てる企業に変革できるとは思えない」

「グローバル競合企業の大胆かつスピーディーな意思決定は、我々には真似できない」

「海外オペレーションの現地化を進めるほど、『日本の常識=グローバルな非常識』の構造を痛感している。日本本社のコア人材だけでは回せない以上、思い切ってグローバルな常識をこの機会に習得する必要があるのかもしれない」

 読者のみなさんも、自分自身の会社・社業についての言葉として聞いたとき、ピンとくる部分もあるのではないだろうか。彼らが一様に口にするのは「日本企業の特殊性」であり、それがグローバル市場や競争において、完全に「弱み」となり、「足かせ」になっている、という厳しい現実である。

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