長島聡の「和ノベーションで行こう!」

CMFで日本のものづくりの価値を引き出そう 第14回 玉井美由紀FEEL GOOD CREATION代表取締役に聞く

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長島 そうしたエネルギーを結集する場として、「CMF TOKYO SENSE」という展示会を毎年開催しているそうですね。少し詳しく教えてもらえますか。

匠の技と感性をつなぐ翻訳

玉井 ものづくりの技術とCMFデザインを融合させた企画展として、2011年の東京デザインウイークに出展したのが始まりです。仕事を通じて、日本のものづくりの技術はすごい、ぜひデザイナーや一般の人にも伝えたいという思いが募っていました。一方、CMFデザインがものづくりの技術に付加価値をもたらせるのではないか、とも考えていました。この2つの目的があったのですが、幸い、とても多くの人に興味を持っていただき、年々開催規模を大きくして今に至っています。

長島 具体的には、どんな展示をしているのですか。

玉井 まず、参加していただく企業には私たちが伺って、技術の内容を聞いたり、工場を見学したり、サンプルを見せていただいたりします。そのうえで、私たちの視点から見た価値や魅力をお互いに共有し、CMFの要素を取り入れた展示用のサンプルを新たに作っていただくという仕組みです。いわば価値起点に基づくサンプル発表の場ですね。もともと企業が持っている価値を引き出して、見せ方を変えるだけなんですが、全く違うモノができあがります。

長島 そこが面白いところですよね。冒頭にお話しした部品加工などの素形材産業は、ものすごい技術を持っている半面、人の心を豊かにするとか、感性の部分に対する意識は少ないのではないでしょうか。

玉井 SENSEは日本のものづくりを活性化したいという狙いで開催していますが、私は匠(たくみ)の技に代表される技術の部分と、CMFのような感性の部分をつなぐ翻訳というか編集の役割を果たしたいと思ってきました。ただ、感覚的なところは、なかなか言葉のようにダイレクトに翻訳できないなというのが正直なところです。うまく伝えられる辞書のようなものがあればいいですね。

長島 工場の現場の人たちの意識が変わるには何が必要でしょう。

玉井 SENSEでは、加工メーカーの精密な部品を見て、最終製品のデザイナーが驚くことが多いんですね。「これはうちで使えそうだ」とか話がどんどん盛り上がる。そういう肌感覚の反応は技術屋さんの方にも伝染します。「こんなに喜んでもらえるんだ」と自分たちの技術が持つ価値を体感してもらうことが大事ですね。

長島 CMFを意識してモノを作れば、すごく付加価値が上がり、高い値段で売れる可能性も出てくるはずです。日本がこれだけ生産性が低いと指摘されている中で、すべての産業に取り入れてもらいたいですね。

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