長島聡の「和ノベーションで行こう!」

CMFで日本のものづくりの価値を引き出そう 第14回 玉井美由紀FEEL GOOD CREATION代表取締役に聞く

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長島 そうしたCMFの効果というのは、どうやって測るのでしょう。

玉井 オフィスには想定どおり、クリエーターがたくさん入居していますし、普段から商業施設には大人から子どもまで、様々な人たちが集まっているそうです。建物の場合、人がいない方がかっこいいと思われることもあるようですが、いろんな人が集まれるいい余白を持ててよかったと思っています。

8割の大衆と2割の先端のバランス

長島 CMFはいろんな要素から成り立っていると思いますが、最終的にはどんな組み合わせが人の心を豊かにしたり、ワクワクさせたりするのでしょうか。アートを分解するという、むちゃな質問ですが(笑)。

玉井 うーん。例えば、高級感の定義づけをして、ある一定の条件下で人の心に作用するということは言えるかもしれません。ただ、不特定多数の人が気に入る何かを決めようとすると、それぞれ価値観が違いますから、同じ基準で評価することは難しいですね。

長島 製品を開発するメーカーの経営者からすると、「それ個別に全部作るの?」となるでしょうね。経済合理性を踏まえた、マスカスタマイゼーションのような取り組みができればいいのかもしれません。例えば、7割くらいは共通で、そこから先は個別に対応するとか。

玉井 それはあると思います。ある程度、カテゴライズした上で、8割まで満たす基準は作れるでしょう。性別、年代別というよりは、ライフスタイルや嗜好の違いによる分類です。

長島 例えば、家のリビングを考えたとき、どんなセグメントができるでしょう。

玉井 実際、分譲マンション販売ではそういう手法が取られています。床や壁、ドアなど一つ一つを選ぶのは大変ですので、シックでモダンとか、ナチュラルで優しいとか、和の雰囲気とか、4つくらいのスタイルから選ぶような売り方をしていますよね。

長島 そういうセグメントだと、ありきたりのように感じてしまいます。先日、玉井さんのオフィスに飾ってあった美しい様々な素材を見たときのワクワク感と比べるとギャップが大きいような気がします。あのレベルに近づいてほしいですが。

玉井 ただ、やりすぎると2割のとんがった層は大満足でも、大部分の8割の人が買ってくれません。そこのバランスはすごく難しい。

長島 8割の共通の部分にCMFの要素を加えてレベルを上げつつ、8割の大衆のニーズにも応えるようなことができませんかね。そうすると供給側の経済性がぐっと高まると思うのですが。

玉井 私自身の経験からすると、その両立はすごく難しいですね。それを実現するには、おそらく、デザイナーだけでなく、ものづくりだけでもなく、何か違う大きなエネルギーを結集する必要があるんでしょうね。

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