長島聡の「和ノベーションで行こう!」

CMFで日本のものづくりの価値を引き出そう 第14回 玉井美由紀FEEL GOOD CREATION代表取締役に聞く

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長島 いまお話を聞くと、CMFの価値はすごく私の心には響きますが、当初はなぜ理解されなかったんでしょう。

「SHIBUYA CAST.」のディレクションも担当

玉井 やはり、時代が追い付いていなかったのだと思います。工業製品といえば、スペックや機能が中心という名残がありました。モノの表面が大事だと話しても、じゃあそれでいくら売り上げが増えるの? 事例を見せてよ、という反応がほとんど。事例なんてまだ日本にはないし、数値で表せるようなものでもない。今でこそ、感性や付加価値の重要性はだいぶ認識されて、定量化するのは難しいと話しても理解されるようになりましたが。

長島 理解してもらうために、具体的にどんな活動をされたのですか。

玉井 いま振り返ると、独立したころは我ながら無知で、仕事ぐらいあるだろうと軽く考えていました(笑)。でも自分がやろうとしていることも、まともに説明できない。すべて一から手探りで始めるしかありませんでした。最初にやったのはブログ。毎日必ず更新していました。徐々に、デザインなどに関するセミナーや、関連する会社で講演する機会をいただけるようになりました。また、日本流行色協会が主催する「オートカラーアウォード」の審査員をさせていただいた時期があり、そこでCMFの情報発信ができたことも大きかったですね。

長島 CMFの価値については、どんな風に説明されていましたか。

玉井 人の心を豊かにするということです。モノを所有するとき、機能だけでも意義はありますが、美しい表面処理や色柄、手ざわりによってワクワクする気持ちになり、毎日が楽しくなる。気持ちを変えるきっかけになるものだと伝えていました。

長島 CMFとは何か、具体的に説明するために、最近手掛けられた作品とかプロジェクトを紹介していただけますか。

玉井 最近で印象に残っているのは、渋谷駅近くに建てられた「SHIBUYA CAST.」という商業施設のプロジェクトですね。建築プロジェクトに本格的に関わったのは初めてですし、「渋谷のクリエイティビティーを高める」という施設のテーマと私の考え方がピッタリ合っていました。私は企画チームに入り、CMFのディレクション(管理・監督)を担当しました。

長島 建物全体の方向性を決める役割ですよね。そういう仕事も手掛けるのですか。

玉井 はい。CMFの手法やツールを使って全体の方向感(世界観)を決めていくのです。具体的な設計の段階では、多くのクリエーターが集まる場所を目指すということで、「不揃いの調和」というキーワードを設定しました。商業施設だけでなく、オフィス、シェアオフィス、レジデンス、シェアハウスなど、多くの要素が入るので、人が入る余白を残した空間としたかった。人が入って完成、というわけです。

 「SHIBUYA CAST.」全体のコンセプトとして小さな魚が集まって大きな魚の影になる「スイミー」があり、多くのものがクリエティブをテーマに集まり広がっていくさまをどうやってまとめるか考えました。建築は箱でそこには人や会社や店舗が入り、文化が生まれていく。それはどんな箱であるべきかを考え、「不揃いの調和」というキーワードを設定しました。そしてそれらを建築の中で素材や色、質感に置き換えて、人など様々な要素が入っても受け入れられる器として表現しました。

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