御社の意思決定がダメな理由

企業突然死の根本原因は「経営不全症候群(MDS)」 野村総合研究所 根岸正州、森沢徹

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 最近、優良といわれる企業が意思決定を間違え、大きな損失を被ったり、事実上の倒産をしたりするケースがあります。まるで「突然死」を迎えたかのようですが、実はその「病状」はしばらく前から進行していたことがほとんどです。根岸正州、森沢徹の両氏による著書『御社の意思決定がダメな理由』ではこのように経営陣の責任、意思決定の誤りによって企業が立ち行かなくなる状態を「経営不全症候群(MDS:Management Dysfunctional Syndrome)」と呼んでいます。第2回では企業の「突然死」を増やしている経営環境の変化について説明します。

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企業の「突然死」と「衰弱死」の違い

 これまでも企業間の競争に負けて衰退し、事業が立ち行かなくなり、倒産したり、事業清算したりする企業は数多くあった。これはいわゆる「衰弱死」とたとえてもいいだろう。起業した会社のうち、10年後には1割程度しか残っていないというのはよく言われることで、これは自然な新陳代謝である。

 ただし、これまでに取り上げている企業は、10年以上の歴史があり、企業の商品やブランドイメージ、サービスの品質、人材など、誰もが認める有力企業である。日本を代表する存在として国民に認められ、世界でも認知されている「優秀なはず」の企業たちである。

 そのような企業が、なぜ「突然死」するのだろうか。もちろん、社内にいる人たちにとってみれば、徐々に会社がおかしくなっていることを実感することが多く、「突然」だとは思えないかもしれない。しかし端から見ると、優良企業の経営が突然悪化し、短期間で立ち行かなくなるというケースが増えているのだ。

 現場のオペレーション能力は優れているため、外部からはその病状がわからない。しかし、非連続でかつ不確実な経営環境の変化に対して、経営として適切に適応できず、間違った方向に突き進んでしまう。筆者は、これが「突然死」の真因であると考えている。

 現場のオペレーションのまずさや能力低下によって徐々にシェアを失い、利益を減らして市場から退場するのが「衰弱死」であるとすると、突如訪れる急激な環境変化に対して、経営として適切な認知、分析、判断を行うことができないことでクラッシュするのが「突然死」である。

 したがって企業の「突然死」は、現場というよりも経営の責任そのものである。筆者たちはこれを「経営不全症候群(MDS:Management Dysfunctional Syndrome)に罹(かか)った」と診断する。

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