GRIT!やり抜く変革マネジメント

「組織IQ」を高めてプロジェクトの失敗を防ごう マネジメントソリューションズ 横江真由美氏

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脱・単一民族感覚のすすめ

 記事本文では、国内のプロジェクトにおいても多様性を前提にしたコミュニケーションは既に不可欠であることを説明しました。実はプロジェクトチームを含め、国内の様々な組織は今、「ハイコンテクスト文化」から「ローコンテクスト文化」へと遷移しています。

 これらはアメリカの文化人類学者であるエドワード. T. ホールが唱えた概念で、ハイコンテクスト文化とは、共通の言語・知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性が存在するため、言葉として表現しなくても相手に意図が伝わるとされる環境です。それに対してローコンテクスト文化とは、言葉に表現された内容のみが情報としての意味を持ち、言葉にしていない内容は伝わらないとされる環境です。

 お気づきのように、ローコンテクスト文化の環境においては、物事を言葉や数値で明確化・文書化して、必要に応じて正しくタイムリーにそれらの情報を展開し、共通認識化することがプロジェクトをうまく進めるポイントになります。まさに本文中で述べたことです。

 とりわけ複数の国のメンバーが協業するグローバルプロジェクトは基本的にローコンテクスト文化の環境であり、様々な注意点があります。それら注意点はローコンテクスト文化に遷移しつつある国内の様々な組織やプロジェクトで同様に気をつけるべきでしょう。

 以下、私が大規模グローバルプロジェクトで、徹底して気をつけてきた点を共有します。

・事実(Fact)と予想(Guess)を明確にする
・自分の「当たり前」は、他人にとっての未知と思う
・正式なコミュニケーションパスを活用する
・コミュニケーションしたことの証を確保する
・必ず「前提」を用意して、話し合う(都度、相手との間に共通の"価値"を置いて話をする)

 ピューリッツァー賞を3度受賞したトーマス・フリードマンの著書『フラット化する世界』(日本経済新聞出版社)をご存知でしょうか。ちょうど10年前、その本を読んで、私は衝撃を受けました。未来、ビジネスや人材、情報は世界規模で流動するという内容であり、ずっと先の話だと認識していましたが、もうその時代は本格化しており、私たちはそのただ中にいることを意識しなければいけないのではないかと思います。
横江 真由美(よこえ まゆみ)
株式会社マネジメントソリューションズ、マネジメントコンサルタント。グローバルIT関連企業に20数年勤務。プロセスエンジニアリング、ソフトウェアエンジニアリングに従事。その後、コーポレート部門CIO組織にて、グローバルプログラムやプロジェクトの日本側リーダーとして変革に携わる。グローバルの実践的な「チェンジマネジメント」に感銘を受け、日本国内で初めて適用し、後進の育成も行う。外資事業会社CIOオフィス勤務を経て2014年より現職。

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