GRIT!やり抜く変革マネジメント

熱い「想い」は科学的に変革へつなげよう! マネジメントソリューションズ 横江真由美氏

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「ビジョンと戦略を生み出す」プロセスのポイント

 「ビジョンと戦略を生み出す」プロセスでは、変革後のあるべき姿である「ビジョン」を描いて、ビジョンの実現に向かう道筋や方法を「戦略」として策定します。

 まずビジョンとは何でしょうか?先に挙げたコッター氏の著書では「ビジョンとは、将来のあるべき姿を示すもので、なぜ人材がそのような将来を築くことに努力すべきなのかを明確に、あるいは暗示的に説明を加えたもの」と定義されています。

 ここではビジョンを、変革に向けて社長の「想い」をより具体的にしたものと考えればよいでしょう。「業界で一番の会社になろう」という「想い」を持っていれば、「業界でトップシェアを持つ製品・サービスを開発して地域社会の発展に寄与する」といったものがビジョンになります。

 社長や経営陣のみなさんはビジョンを整理できているでしょうか。社長の「想い」を実現するために、まず変革のリーダーである社長自身がビジョンを正しく描く必要があります。

 また戦略とは、ビジョンを実現するまでの道筋を示すものです。おおまかな方針でよいのですが、ビジョンが実現できそうだと感じるレベルのものを示す必要があります。戦略として、組織変革を行うのであれば、組織の統合で実現するのか、分社化や企業買収で実現するのかなど、あるべき姿の組織をどのように作るのかまで示します。

 ただし、ビジョンと戦略を描く際にはいくつか注意点があります。

 例えば、実際の変革プロジェクトで、社長などリーダーの方に「どのように自社を変えたいのですか?」と質問すると、「機能型組織からプロジェクトベースの組織に変更したい」「この業務ソフトウエアパッケージを導入して生産部門の業務プロセスを変えたい」といった返事がくることがあります。

 これら「プロジェクトベース組織への変更」「業務ソフトウエアパッケージの導入」は変革の手段であって、変革の最終ゴールではありません。

 私も「機能型組織からプロジェクトベースの組織に変更したい」という相談を多くいただいた時期がありました。機能型組織は、固定的な営業、生産、研究・開発部門によってビジネスを行う体制を指し、ビジネス環境の変化に追随しにくいと言われています。そこで、商品やサービスの企画単位で開発から営業までの機能を横断的に備えたプロジェクトベースの組織に変え、一気通貫かつ柔軟な組織にしたいという要望でした。

 当然ながら、プロジェクトベースの組織では、プロジェクト計画、実施、課題管理、リスク管理などのプロジェクトマネジメント活動が業務プロセスになります。また、役割と責任も、機能型組織の「部長」「課長」などから、プロジェクトベース組織の「PM(プロジェクトマネジャー)」「PL(プロジェクトリード)」などに変わります。

 でも、そこで「そもそもプロジェクトベースの組織にする理由は?」ともう一度、自問してみてください。すると、社長や経営陣にとってより重要な目的は 「プロジェクト単位で収益が把握しやすくなり、投資判断を明確にできる」や「企画・開発から営業までの状況を正確に把握できる」といったより深い理由があるはずです。それらが実現できれば手段はなんでもよく、場合によってはプロジェクトベースの組織への移行より適したものがあるかもしれません。

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