東大卒棋士のAI勝負脳

15歳の「藤井聡太」はなぜ将棋に勝てるのか 片上大輔・将棋棋士6段

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■プロだからこそ思いつかない手

 藤井の将棋を見ているとあらゆる局面で指し手をひたすら理詰めで選んでいるように感じる。将棋というものは指し進めていくと必ずいつかは未知の局面を迎え、時には全く経験したことのないような展開にもなるものだ。そういう場合でも藤井はひたすら指し手を読み、感覚で指すことが極めて少ないように見えるところに、これまでの棋士とは異なる才能を感じるのである。加えて難解な局面においても自分の読みを信じられる心の強さと、いかなる状況下でも平常心で盤上に集中できることの2点は、鍛錬の賜物というだけではなく明らかに特別な才能であろう。

 私はこの1年間藤井6段の将棋はほぼリアルタイムで観戦してきた。いまは対局の現場でなくても「日本将棋連盟モバイル」で棋譜を見ることができるし、インターネットTVの中継もある。藤井の指し手はコンピューターソフトの示す手と一致することが多いようだ。

 歴代新記録の29連勝を達成した一局では中盤の場面で、藤井は自らの角と桂が利く5三の地点に桂を打ち込んだ。こんな手を第一感で思いつくプロはまずいない。これほど駒の効率を悪くする手が最善手になることは極めて少なく、例外中の例外と言えるだろう。この手が勝ちを引き寄せる妙手であるばかりか、コンピューターソフトも同じ手を示すと後に知って私は驚いた。そもそもなぜこんな手が思い浮かぶのかが私には分からない。

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