東大卒棋士のAI勝負脳

15歳の「藤井聡太」はなぜ将棋に勝てるのか 片上大輔・将棋棋士6段

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 いま将棋界は、400年以上の歴史の中でも、とりわけ劇的な出来事が相次いでいる。ちょうど1年前の4月1日にはコンピューターソフトの「ポナンザ」が佐藤天彦名人に勝利した。我々プロ棋士は、人工知能(AI)が人間の能力を凌駕していくシンギュラリティー(技術的特異点)の瞬間を他の社会より一足早く経験したことになる。その3日後の4月4日には、中学生棋士の藤井聡太4段(現6段)がプロデビュー以来の連勝記録を更新(11連勝)した。藤井4段はその後も最年少記録を次々に塗り替えて世間の耳目を集めている。新年度は、さらにドラマチックな展開が待っているかもしれない。

 

AI時代におけるビジネスパーソンの「勝負脳」をどう鍛えていけば良いのか。新連載では、片上大輔6段がコンピューターソフトを活用している将棋界のケースを中心に分析します。

■将棋の勝負は情報処理能力が全て

 将棋のルールを覚えて10年程度の少年が、並み居るプロを相手になぜこれほど勝ちまくれるのか。それはまず当然のことながら才能が突出しているからである。ほかのジャンルの天才たちは、音楽家であれば絶対音感とか、画家であれば色彩感覚とか、データ化しにくい部分に図抜けた才能を見せる。新しいマーケットを開拓するビジネスの天才も、言葉では説明し切れない勘が秀でているはずだ。

 いっぽう将棋は盤上に全ての情報が平等に公開されている。もちろん人間同士の戦いであるから、そこには駆け引きというものが存在し、勝負手を繰り出すタイミングや相手のミスにつけ込んでの逆転術には数多くの実戦経験が必要かもしれない。しかし将棋に勝つためには冷静に最善手を積み重ねる、いわば情報処理能力の高さが決定的に重要である。極端な話、経験や感覚や勘といったものは本来必要のない要素とも言える。だからこそ中学生が名人や竜王を破るなどということが起きたのだろう。

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