ビジネス書の目利きが選ぶ今月の3冊

AI社会の「シンギュラリティー」を読み解く 橋本忠明「TOP POINT」編集長

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 人工知能(AI)をテーマにしたビジネス書が加速度的に増えている。その内容もまさにさまざまだが、とりわけ重要なのはシンギュラリティー(技術的特異点)が将来のビジネス社会に与える影響だろう。シンギュラリティーに関する「一読の価値ある書」を紹介する。

 この新シリーズは「ビジネス名著大全」の著者で、1987年からビジネス書に関する専門月刊誌「TOP POINT」を発行している橋本忠明氏が、多忙なビジネスパーソンにとって、今どうしても必要な3冊を紹介・解説します。

■「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」

 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著・東洋経済新報社)の興味深い点の1つは、シンギュラリティーについて「私は、この言葉の賞味期限は長く見積もってもあと2年だろうと思う」「コンピューターが数学の言葉だけを使って動いている限り、予見できる未来にシンギュラリティーは来ることはない」と断言している点にある。

 新井氏によると、シンギュラリティーとは「真の意味でのAI」が自分自身よりも能力の高いAIを作り出すようになる地点という意味である。そして今のAIの延長では、「真の意味でのAI」ができるはずがないからだとする。「真の意味でのAI」とは、「人間の一般的な知能と同等レベルの知能」という意味だ。 現在のAIはコンピューターに過ぎず、コンピューターにできることは計算だけだという。

 しかし、「真の意味でのAI」は近未来にできないにしても、音声認識技術といった「AI技術」は今後さらに進んでいく。人間がAIに仕事を奪われないためには、AIにはできないような能力、例えば高度な読解力や柔軟な発想を持たなければならない。だが著者が調べてみると、今の子どもたちは教科書さえ満足に理解できない――。 こうした危機的状況を踏まえ、新井氏が描く未来予想図は「企業は人出不足で頭を抱えているのに、社会には失業者が溢れている」という「AI恐慌」になる。

■「スーパーインテリジェンス」

 将来、人間の頭脳を超越するAIが出現すると、人類の滅亡につながる――そう主張するのが「スーパーインテリジェンス」(ニック・ボストロム著・日本経済新聞出版社)だ。著者はオックスフォード大学マーティン・スクール哲学科教授であり、同大学の「人類の未来研究所」所長兼「戦略的人工知能研究センター」の所長である。

新着記事

もっと見る
loading

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。