愛されシニアを目指すスキルアップ道場

厄介な裸の王様になっていませんか? トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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 「100年人生時代」「100歳人生」といった見出しがメディアを賑わすようになってきた。寿命が延びて、とうとう100歳まで生きる前提で人生を考えなければならない時代になったのだ。

 シニアの定義は50代から65歳ぐらいまでと人や団体によっていろいろであるが、ここでは「50歳以上」としたい。だが、50歳はいまや「もう50」ではなく、「まだ50」とも言えるほどまだまだ若い。やっと人生の半分に到達したばかりだ。

 この連載では、50歳以上の働くシニアがどうやって「愛されシニア」になっていけばよいのかを考えてみたい。他人事のように書くつもりはない。今年、55歳になった私にとっても切実な問題だからだ。

 とはいえ、この連載のタイトルに反発をいだくシニアもいるかも知れない。「50年以上生きてきたのだから、もう自由にしたいよ。今さら若い人に愛されなくてもいいし..」と嘯(うそぶ)いて、周囲の目を気にせず、好きなように過ごす手ももちろんある。

 でも、若い人からこんな風に思われているとしたら、冷静でいられるだろうか?

 「厄介な人」

 「面倒くさい人」

 「もう終わっているよね」

 もし、こういう言葉が聞こえてきたら、傷つく。たぶん耐えられない。

 シニアになったら堂々としていられると思っていた。しかし、何か風向きが変わってきたぞと思うようになったのは、5年前、50歳を超えたころからだ。企業向け研修で講師を勤めている時、受講者のこんな質問が増え始めたのがきっかけだ。

 「年上の部下がいるんですけど、どのように接したらよいですか?頑固で言うこと聞いてくれないし、扱いが難しいんですよ」。

 要は、年下の上司が「年長の部下が扱いにくい」と悩む話だが、こうした悩みがもう珍しくないことは多くの方が感じていることだろう。

 そういえば、「私は聞く耳を持っている」と豪語しているのに、周囲からは「全く人の話を聞いていないよね」と評価されているシニアを何人か見たこともある。

 こうしたことから、「あれ?もしかすると、自分だって、“扱いにくい”などと思われていないとは決して言い切れないのではないか?」と不安になったのだ。

 うわ、それは嫌だ。

 自分より若い世代から、「あんなふうになりたいね」と思われたいとまでは言わないが、せめて「ああはなりたくないね」と思われない程度にはがんばっていたい。「愛されシニア」になりたい。

 「愛されシニア」とは、ある企業の若い人事課長が教えてくださった言葉である。「シニアの方々に、もっと“愛されシニア”になって欲しいんですよね」と。私のことを話しているわけではなかったのだが、自分ごととしてその言葉を聞いた。だから、ここでは、その言葉をそのまま使わせていただくことにする。

 私も勤務先では、女性で最年長になった。男性を含めても上から数えたほうが早い。上司に限らず、同僚のほぼ全員が年下である。

 自分より若い人たちと仕事をしている中で、「厄介だと思われてはいないか」「頑固で困ると感じさせていないか」とときどき気になる。

 私が何かマズイことを言ったり行ったりしても、ズバッと諭してくれる人もそういない。上司は役割上、指摘してくれるが、年下の人は言いづらいに決まっている。そうなると、「私はまだ大丈夫」と思っていても、「裸の王様」の状態に陥っている可能性は多いにある。

 これは、とても怖いことだ。

 職場で最年長ゾーンに差し掛かった50代の生きる道を真剣に考えなければならないと切実に思う。それも、できるだけ輝いて、自分に誇りを持って、根拠ある自信を持って。そんなシニアとして残り10年か20年かの仕事キャリアを全うするためのちょっとしたスキルをみなさんと共有していきたい。