日本的デジタル化の落とし穴

デジタル人材「育てる」より「育つ」環境を 第2回 アクセンチュアの本徳亜矢子氏がFringe81の田中弦社長に聞く

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司会 すごく今っぽく、ツイッターのような軽いノリでできるところもいいですね。ちなみに、ここで目立っている人と、人事評価で上位の人には相関性があるのでしょうか。

今の人事制度は「強者のための制度」

田中 間違いなく、あります。情報のハブになっている人はそれだけ仕事もしていますし、会社に深くコミットメントしてくれている人も多いですから、幹部候補生のリストにも入ってきます。いま、50社くらいの企業が導入していますが、ポイントの消化率は平均60%くらいで、想像以上にアクティブですね。

本徳 今までは評価や報酬は上司や会社から決められるものでした。仕事をほめるのも上の人。だから上ばかり見て、顧客を見ない社員も出てきてしまいます。この仕組みは横同士で評価し合い、ほめ合うという意味でも発想の転換ですね。今の若い人が何に興味を持っているか、何が動機づけになるのか、トップがわかっていないと何も行動には移せません。そうした情報は現場にあります。多様な価値観を求める若い世代の志向をどう見える化するか、そのインフラを整える必要が高まっていると言えます。

司会 インフラの観点で思うのは、メルカリやLINEといったBtoCあるいはCtoCのサービスは使いやすく進化しているのに、会社の評価システムや情報共有システムだけはずーっと古い(笑)。なぜBtoBやBtoE(Employee=従業員)は進化しないんでしょうね。

本徳 確かに、面談シートにしても評価入力にしても「手続き感」満載ですよね(笑)。

田中 人事制度も給与制度も結局は「強者のための制度」だからだと思います。強い人、仕事ができる人が評価され、出世する。弱い人は評価されず、しょぼんとするしかない。これからは人事制度でなく「人事体験」、給与制度でなく「給与体験」になるべきではないでしょうか。給与明細を見て、ほっこりしたり、ジーンときたりする。会社にいることがいい体験だと、いかに思ってもらえるかが、これからの組織をマネジメントしていくのに必要だと思います。

本徳 人事制度の根本には、できないことをできるように克服しなさい、来期までに改善しなさい、という思想が残っている気がします。これからの人材育成では得意分野を伸ばし、強みを磨く方向へとシフトしているわけですから、評価の仕組みも変わる必要があるでしょう。

 いま、『ティール組織』(フレデリック・ラルー著、英治出版)という本が話題になっています。目標を与えられるのでなく、自律的に進化していく組織こそが生き残るという趣旨です。多様な価値観を持つデジタル世代を生かすには、個々人の目的と組織の目的が自然に合っていくような企業を目指すべきではないでしょうか。

田中 当社は超オーナー企業ですが、自律的な組織を目指しています。矛盾するようですが、今やっている取り組みを磨いていけば実現は可能だと思っています。

司会 お二人のお話を聞いて、デジタル人材をどう作るか、ではなく、上の世代と若い世代の意識のディバイドをどう埋めていくかが本質的な問題かなと思いました。そのために必要なコミュニケーションツールやインフラを整えていくことが急務だと言えます。本日はありがとうございました。

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