日本的デジタル化の落とし穴

デジタル人材「育てる」より「育つ」環境を 第2回 アクセンチュアの本徳亜矢子氏がFringe81の田中弦社長に聞く

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司会 モチベーションに関して、田中さんの会社ではユニークな取り組みを実践し、その仕組みを「Unipos」というサービス名で外販もしていますね。少し詳しく教えてもらえますか。

全従業員がボーナスを送り合う

田中 すべての従業員がお互いにボーナスポイントを送り合う仕組みです。ボーナスを送る理由は会社のバリューに沿ったものを中心に、何でもいい。急な仕事を手伝ってくれたとか、いいアドバイスをしてくれたとか、励ましてもらったから、でもいいのです。送った人にもポイントが付きますし、誰が誰に送ったかも全員が共有します。なので、「俺にくれ」といった談合は排除されますし、ほとんどの人がポイントをもらえ、参加率も高くなります。

 毎週月曜朝に1人400ポイント(1ポイント1~5円、企業ごとに設定)ずつ付与され、日曜夜になるとゼロになります。だいたい総人件費の1~2%くらいですから、成果給や基本給に取って代わるものではなく、「第3の給与」と位置付けています。例えば、僕から1000円もらうのと、10人から100円ずつ、フィードバック付き、かつリアルタイムでもらうのとではまったく価値が違います。これまでの評価や報酬制度でカバーしきれなかった部分を補えればいいなと思っています。

本徳 全員に情報が共有される、オープンな「ありがとう!」がいいですね。アクセンチュアにも似たような制度がありますが、ほぼ当人同士しかわからない仕組みです。

田中 もう1つのメリットは、社内の人の動きが見えることです。誰と誰がよくコミュニケーションしているのか、誰がどんなスキル、能力を持っているか。例えば、非正規社員も正規社員とつながっていることがわかります。リアルタイムのフィードバックの蓄積から、今まで見えなかった組織の課題や新たな可能性が見えてくることもあります。

 人事評価の面談は半年とか3カ月ごとにやりますが、成果をすべて覚えているわけではなくて、ともすれば直近の目立った案件で評価されがちですよね。Uniposだと、小さなことでも記録に残ります。会社のバリューを上げるものであり、みんなが共感したことですから、客観性もある。しかも人事部の負担はゼロです。

本徳 そもそも、なぜこの仕組みを作ったのですか。

田中 4年ほど前ですが、会社の規模が大きくなり、誰が何をやっているか見えづらくなりました。それと同時に、辞めていく人も増えてきた。一体何が起きているんだろうと思い、まず段ボールで投票箱を作り、ポイントや理由を紙に書いて投票してもらうところから始めました。それをデジタル化し、徐々に使い勝手をよくしていきました。

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