日本的デジタル化の落とし穴

デジタル人材「育てる」より「育つ」環境を 第2回 アクセンチュアの本徳亜矢子氏がFringe81の田中弦社長に聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

在宅勤務まで管理しようとする上司

本徳 私はさまざまな人事制度の運用が今の働き方に合っていないと思っています。例えば、有給休暇。多くの企業は1日単位、半日単位でしか取れないようですが、これでは柔軟な働き方ができないのではないでしょうか。ちなみにアクセンチュアは0.5時間単位で取れるようになっています。リモートワーク(在宅勤務)もそうです。よく、家で仕事をしている部下をどう管理すればいいか、と聞かれるのですが、そのたびに「しなくていいんです」と答えてます(笑)。そもそも何のための、在宅勤務かということなんですね。

田中 副業規定もそうですね。性善説に立って、パフォーマンスをきちんと出すと約束していれば、コアタイムに副業をしてもいいと思うんです。性悪説に立つから管理しないといけなくなる。

本徳 たくさん働けば結果が出た時代の制度だから、矛盾が噴き出しているんでしょうね。

田中 時間給制度というのは長い期間、働けば働くほど賃金が上がるわけで、正規労働者にとって都合のよい制度でした。しかし、非正規労働者は長く働いても賃金はさほど上がりません。これだけ非正規の比率が多くなれば、生産性が上がらなくなるのは当然です。

司会 なるべく管理しない方が生産性は上がるでしょうか。

田中 放っておいても生産性は上がらないし、管理しても上がらないと思います。処方箋は2つあります。1つは、なぜ働くのかという動機づけについて、上司と部下が密にコミュニケーションすること。もう1つは、がんばっている姿が周りに見えていることです。多くの人は会社に行っても所属する部署の人としか話しませんが、会社では実にいろんなことが起きています。周りのことが見えれば、会社に対する見方もだいぶ変わるんじゃないでしょうか。

本徳 昇進させるから、給料上げるから、という動機づけは男性的じゃないかなと思っています。女性はもう少し人の要素が大きい印象があります。あの人の下で働きたいとか、あの人たちと同じチームで働きたいとか。これからは女性や外国人などダイバーシティー(多様性)が進むので、より多様なモチベーションに対応する制度が必要かもしれません。

田中 僕はデジタル人材については、男性とか女性は関係なくなってきていると思っています。その会社の指針やバリューに対して貢献すれば評価する。それで納得してもらえるのではないでしょうか。

本徳 いろんなオプション(選択肢)がある方がいいですね。誰もが満足する1つの完全な人事制度はありません。それぞれの社員に応じて、働く時間や場所、報酬などを選べる柔らかい制度を持っていることが大切だと思います。

田中 その通りですね。実は最近、当社で目標設定について、各人に自由に決めてもらう方式を試してみたのですが、かなり混乱しました。目標や評価のブレがすごく大きくなって収拾がつかなくなったのです。やはり、完全なフリーではなく、オプションの中から選ぶ方式がいいでしょうね。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。