日本的デジタル化の落とし穴

デジタル人材「育てる」より「育つ」環境を 第2回 アクセンチュアの本徳亜矢子氏がFringe81の田中弦社長に聞く

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司会 そうした若い世代の変化に対して、大企業のトップはどう思っているのでしょうか。本当に理解して改革しようとしているのか、昔ながらのやり方を押し付けようとしているのか、それともわからないまま若手に任せようとしているのか。

人材管理まで...課長職はつらい?

本徳 人事制度や組織のカルチャーが、今のままでよいとは思っていないと思います。働き方改革やイノベーション人材の育成にも、まじめに取り組んでいる企業は多い。ただ、なんとなくもう少し先の話というか、自分が任期の間は大丈夫ではないか、と楽観視しているようにも見えます。

田中 厚生労働省の調査によると、1990年代以降、日本企業でも年功序列は徐々に崩れ、成果給の比率が増えていました。ところが、世界金融危機が起きた2007年以降は成果給、職能給、職務給とも減っています。これに伴い、収入のピークアウトも早まっています。1990年代後半までは59歳がピークでしたが、今は50歳で、10年近くも早い。上昇のカーブも緩やかです。また、最近は転職も増えていますが、転職して有利な職に就けるといわれる年齢は35歳。定年して年金がもらえる60歳までは相当長い。就職する年齢は22歳前後で変わっていませんから、働く環境を巡り、相当に大きな社会変革が起きていると言ってよいでしょう。

本徳 働き方改革の議論は時間にフォーカスされすぎですね。成果や報酬のあり方をもっと深く議論すべきです。

司会 50歳前後で収入がピークという未来が見えている中で、若い人は働く意味をどう考えているのでしょう。また、人事制度が現実とずれていることが、若い人の働き方にどんな影響を与えているとお考えですか。

田中 デジタル化の観点から言うと、少し前までインターネットが社会を変えると言われてきましたが、実際にはさほど変わっていない。特に日本はそうです。次に来ると言われるAI(人工知能)時代は、多くの仕事がAIに取って変わられるかもしれない。自分はどうなるんだろうと考えると、ますます先細り感が強まり、夢を持ちにくいんじゃないでしょうか。

本徳 最近よく聞くのは、中間管理職が大変だという話です。35歳から40歳くらい、大企業の課長クラスです。なぜかと言うと、営業なり企画なり、自分の専門分野で業績をあげたから昇進したのに、部下のキャリアを描いて育成するとか働き方改革を推進するとか、人材マネジメントの分野まで責任を負わされているからです。彼らはこれまでやったこともないし、自分が教わったこともないにも関わらず周囲からの期待がどんどん増えています。一方で、管理の仕事ばかりが増える上司の姿を見ていると、若い人もなりたいとは思わないものです。本来なら、将来を見据えて中間管理職こそ正しく育てるべきなのに、そうなっていません。

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