日本的デジタル化の落とし穴

デジタル人材「育てる」より「育つ」環境を 第2回 アクセンチュアの本徳亜矢子氏がFringe81の田中弦社長に聞く

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本徳 私が担当する伝統的な大企業も、デジタル化に対応できるイノベーティブな人材を育成しようとはしています。実際、若い層ではデジタル人材を採用していますし、中には経営層にキレキレのデジタル人材がいる場合もあるでしょう。ただ、問題はその他大勢の人たち、いわば「フツーのおじさん」たちが違和感なくデジタルワーカーになれるかどうかが、本当の新しい働き方の実現、組織を底上げをできるかどうかだと思います。大きなチャレンジであり、非常に興味深く見ています。

家ではアプリ、会社ではハンコ

田中 私も含めて、周りはみんなフツーのおじさんですが、みんなフツーに(フリーマーケットアプリの)メルカリを使っています。友人とはLINEでつながっている。でも会社に行くと、ものすごくハンコを押しているわけです(笑)。社内のチャットツールは使っていない。これは何なんでしょうね。

本徳 確かにそうですね。そういう人が、それなりのポジションに就いていて、「今どきの若者はわからん」とかぼやいている。ではどうするかというと、タレントマネジメントシステム(タレマネ)を導入しようとなるわけです。社内のどこに、どんな人材が、どれだけいるのか、一元管理するためです。ただ、デジタル時代に求められるスキルがどんどん変わる中で、そうしたシステムに頼るだけで対応できるのかどうか......。

田中 そこで集められるデータは職務経歴書みたいなものですよね。実は私、もうすぐ子どもが生まれるのですが、社内のSlack(ビジネス向けチャット)で「プレ・ダディー」というコミュニティーに入れられたんです。社内のパパ同士が、ネット上で赤ちゃんのあやし方や寝させ方を相談し合うわけです。そうすると、すごく役に立つスキルやノウハウを持っている人がいる。でも、そういうスキルは絶対タレマネに載らないですよね(笑)。

本徳 たとえ静的なデータであっても、経歴情報があると安心するのかもしれません。それと、若い人たちは情報収集の仕方も変わってきているように思います。ネットで検索するより、SNS(交流サイト)で問い掛ければ答えが返ってくる。コミュニティーにいることで、自分に関係ある情報が染み出して来るように取れるようになってきています。スマホやアプリの普及が本格化して以降、一口にネット時代、デジタル時代とはくくれなくなってきているのではないでしょうか。

田中 たしかに、みんなググんないですよね。ブックマークもしない。今その瞬間に必要な情報が取れればよくて、後で見返すために登録なんてしません。これも、プロジェクト単位で働く今どきの組織と似ているかもしれませんね。この指止まれで人を集めて、有機的なリアルタイムの組織で動く。プロジェクトが終われば解散。

本徳 確かにそうですね。

田中 それと、若い人は情報の整理の仕方とか、本の読み方などはよく聞いてきますね。Tips(助言、裏技、便利なテクニック)に飢えているというか(笑)。情報はすぐに取れるけど、整理するTipsはすぐには手に入りませんから。

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