日本的デジタル化の落とし穴

デジタル人材「育てる」より「育つ」環境を 第2回 アクセンチュアの本徳亜矢子氏がFringe81の田中弦社長に聞く

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協力:アクセンチュア

 経営コンサルティング大手、アクセンチュアのコンサルタントが様々な分野のエキスパートと対談し、日本的デジタル化の要諦を探る連載シリーズ。第2回は「イノベーティブな人材確保や、パフォーマンスを高める環境づくりはどうあるべきか」をテーマに、様々なネット企業の立ち上げに携わり、デジタルネーティブ世代の動向にも詳しいFringe81の田中弦社長と、アクセンチュアの通信・メディア・ハイテク本部 人事・組織管理統括の本徳亜矢子マネジング・ディレクターが対談した(司会はアクセンチュア マネジング・ディレクターの古嶋雅史氏)。

出世よりビジョンやミッション

司会 今回はデジタル人材の育成がテーマですが、その前に、多くの企業でデジタルネーティブ世代が現場の大半を占めるようになり、上の世代との意識ギャップや摩擦が問題になっています。それが組織の活性化を阻むケースも増えているようです。まず、デジタル化を進めようとする現場で何が起きているか、その辺りから議論を始めましょうか。

田中 当社は従業員の平均年齢が30歳くらいで、平成生まれが半数を超えています。物心ついた頃にはインターネットがあり、中学生から当たり前のようにスマホを使いこなす。我々の世代とは意識が全然違うなと思います。

本徳 最近、ヤフーで社長交代の発表がありました。50歳の宮坂学氏から、43歳の川辺健太郎氏へのバトンタッチ。理由は「変化の激しいインターネット業界を勝ち抜くためには、新たな挑戦と若返りが必要」(宮坂氏)というものでした。その宮坂氏は44歳のとき、55歳だった創業者の井上雅博氏(故人)から社長を引き継いでいます。当時はモバイルファーストへの対応が理由だったかと思います。経営層がネットビジネスとは何かを皮膚感覚でわかっていることの重要性を、同社の社長人事は象徴しているような気がしています。

田中 経営戦略や会社の方針を考えるとき、確かにトップがデジタル技術に精通している必要はあると思います。ただ、経営層が若返っても、従業員の働き方や評価の仕方などは変わらない企業が多いのも事実です。トップの若返りと働き方が変わることは、ちょっと違うような気がします。

司会 働き方の面でいうと、若い世代にはどんな特徴がありますか。

田中 まず出世に興味がない人が多いと感じますね、びっくりするくらい(笑)。新規事業をやると言っても、我々の世代なら「いっちょ、やってやるか」となるところが、一般的に今の人たちは「そんな面倒なことやりたくありません」と来る。面白いと思うのは、お金の使い方です。車やカメラといった趣味よりも、クラウドファンディングに使っている人が多い。なぜかと聞くと、「普通にお米を買うより、未来のためとか、特別な目的のために作っている人のお米の方がおいしいはずだから」と言うんです。

本徳 物語を求めているわけですね。

田中 クラウドファンディングにお金を使うということは、ビジョンやミッション、バリューに重きを置くという、若い世代の働き方にも通じると思います。売り上げや利益が目標じゃない。この仕事にはこんな夢があり、自分にとってのリターンはこうであり、だからやる意味がある。デジタル世代はここまで納得しないと動きません。

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