はじめての著作権法

「編集著作物」って何?著作物のジャンルを知ろう

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 また、あくまで前回までに説明した4つの要件をクリアすることが前提になりますので、たとえば、履歴書用の写真を考えると、町の写真館でカメラマンに撮影してもらった写真は著作物(「写真の著作物」)である一方、スピード写真撮影機で撮影した写真は、同じ「写真」に変わりはありませんが、機械による自動撮影であり、人の思想や感情は通常含まれないことから要件1をクリアせず、「写真の著作物」には該当しません。同様に、防犯カメラで自動撮影された映像は、動画という意味では一種の映画なのかもしれませんが、やはり要件1をクリアしないと考えられますので、映画の著作物としては認められません。

 なお、日常用語で「映画」といった場合、映画館で上映される劇場用映画を指すことが多いと思いますが、著作権法上の「映画」は、これに限らず動画全般が含まれる概念ですので、ついでにその点も覚えてください。

特殊な著作物(編集著作物、データベースの著作物)

 この他、ちょっと特殊な著作物として、著作権法上、「編集著作物」と「データベースの著作物」というものがありますので、これもついでにさくっと説明します。

 

● 編集著作物

 まず、編集著作物とは、「編集物でその選択や配列によって創作性を有するもの」をいい、これも著作物として保護の対象となるとされています(著作権法12 条1項)。具体例としては、新聞雑誌、あるいは各種辞典、それから筆者が日頃お世話になっているものですと、「ブラックミュージック名盤セレクション」的なディスクガイド系の書籍も編集著作物に当たります。

 代表的な編集著作物である新聞を例に説明すると、新聞に掲載されている個々の記事や写真といった素材は、それぞれが単独として著作物と評価されますが、編集物である新聞紙面全体として、どういった記事や写真を選択して載せるか、そして選択した記事や写真をどういった順序、位置で配列するかということについて各新聞社の個性が発揮され、創作性があると考えられます。そのため、記事や写真といった個々の素材だけでなく、それらの集合体である編集物としての新聞紙面全体も編集著作物として著作権の対象とされているというわけです。

 したがって、ある日の日経新聞を誰かが無断でコピーしてばら撒いたというケースを考えた場合、個々の記事(=言語の著作物)や写真(=写真の著作物)の著作権の侵害に当たりますし、それだけでなく、新聞全体(=編集著作物)の著作権の侵害にも当たるわけです。

 一方で、ある日の新聞全体ではなく、ある特定の記事だけを切り抜いて無断コピーしてばら撒いたというケースを考えた場合、その記事の著作権侵害にはなりますが、編集著作物である新聞全体の著作権侵害にはなりません。

 ちなみに、法学部生や司法試験受験生などにはおなじみの定番参考書として、「判例百選」(有斐閣)というシリーズがあります。このシリーズは、各法律分野で押さえておくべき要チェックな裁判例を約100集め、事案の概要や判決の要旨を研究者や法律実務家(裁判官、弁護士等)が執筆したコンパクトな解説とともに収録するというものです。「判例百選」シリーズも、どの裁判例を選択してどのような順序で掲載するか、そしてそれぞれの裁判例をどの人に執筆してもらうかということにつき創作性があり、編集著作物に当たると考えられます。

● データベースの著作物

 次に、データベースの著作物とは、「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するもの」をいい、これも著作物として保護の対象となるとされています(12条の2第1項)。

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