フィンテック キーパーソンに聞く

「地域に寄り添い、地域を守る」フィンテックつくる 農林中央金庫 執行役員 デジタルイノベーション推進部長 荻野浩輝氏

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デジタル化が進んでも地域の生活のプラットフォームであり続ける

 JAバンクは全国津々浦々に約8000の店舗を抱えている。メガバンクと比較すると店舗の数は一ケタ多い。

「フィンテックやアグリテック(農業とテクノロジーの融合)の進展で、もっと地域を創生する仕組みをつくれるかもしれません」

「フィンテックやアグリテック(農業とテクノロジーの融合)の進展で、もっと地域を創生する仕組みをつくれるかもしれません」

 「他の金融機関に比べて店舗を維持するコストがかかることは確かです。だが、地方の店舗が採算が合わないからという単純な経営判断で廃止することはできません。どんなに過疎が進みつつある地域であっても金融サービスを放棄するわけにはいかない。そうしたJAバンクの使命は何が起こっても変わりません。農林中金がフィンテックを考える際に大事にするべきなのは、情報通信技術(ICT)によるデジタル化と人が関わる部分のメリハリだと思います。欧州では、デジタル化で置き換える業務とフェースツーフェースの業務を並立させていくと言っている金融機関もあり、農林中金も方向は同じです」。

 フィンテックで農林中金が見つめる目は国内外の金融機関、大手企業、スタートアップ企業だけではない。むしろ、自らの基盤である地域を深く掘り下げる方向にも向けられている。農林中金は7月、金庫内に「JAバンク資産形成推進部」を設置し、JAバンクによる農業者向け資産形成コンサルティング機能をサポートする体制をスタートさせた。

 「地域農家の資産運用だけでなく、農家の高齢化に対応してスマホで手軽に操作できるツールなどを開発していきます。農家の高齢化で遺産相続や後継者不足などの問題が深刻化しており、このまま放置しておくと地域そのものが崩壊しかねません。総合事業体としてのJAは現在でも地域の生活に不可欠なプラットフォームを提供しています。経済のデジタル化が進んだとしてもJAは地域と第一次産業を支えるプラットフォームであり続け、家族をつなぐ、世代をつなぐ仕組みを担っていくのが我々の使命だと考えています。フィンテックやアグリテック(農業とテクノロジーの融合)の進展で、もっと地域を創生する仕組みをつくれるかもしれません」。

 荻野氏が「FIN/SUM WEEK 2017」で注目するイベントの1つが、世界の大学生・大学院生が参加し、与えられたテーマのソリューションアイデアを競う「アイデア・キャンプ」だ。「地方創生」などのテーマに対し、学生チームがどのようなソリューションを出してくるかに期待感が高まるという。

 「地域の現状に対する危機感はJAグループ全体が共有しています。地域に寄り添い、地域と第一次産業を守るという使命をフィンテックでどう実現していくか。FIN/SUM WEEK 2017が多くの人に地方創生の新しいアプローチを考えるきっかけになってほしいと思っています」という。

(日本経済新聞社 FIN/SUM事務局)

キーワード:経営層、管理職、経営、企画、経理、フィンテック、ICT、イノベーション

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