フィンテック キーパーソンに聞く

スタートアップ支援で日本のフィンテック底上げ 三菱UFJフィナンシャル・グループ プリンシパルアナリスト 藤井達人氏

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 フィンテック(金融とテクノロジーの融合)をテーマとするグローバルイベント「FIN/SUM WEEK 2017」の開幕を機に、参加団体のキーパーソンに注目テーマや最新動向、新分野を切り開く意気込みを聞く。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のデジタル企画部プリンシパルアナリスト、藤井達人氏は「アクセラレータ・プログラム」などを通じたオープンイノベーションの動きを広げていくことで、日本のフィンテックの底上げをしたいと期待を込める。

スタートアップのメンタリング拠点開設

 東京証券取引所に程近い日本橋兜町の一角に「銀行発祥の地」と刻まれたプレートが掲げられている。日本初の近代的銀行、第一国立銀行が1873年(明治6年)に開業した場所を示す。それから140年あまりを経た今年3月、通りを隔てたビルの中に金融の新たな地平を開くスタートアップの育成拠点が誕生した。MUFGの「The Garage(ザ・ガレージ)」だ。

三菱UFJフィナンシャル・グループ デジタル企画部 プリンシパルアナリスト 藤井達人氏

三菱UFJフィナンシャル・グループ デジタル企画部 プリンシパルアナリスト 藤井達人氏

 プログラムのファウンダーである藤井氏は「ここでスタートアップに対するメンタリングなどアドバイスセッションを行います。銀行に来てもらうのではなく、スタートアップとメンターが互いに距離を詰めて専用の場所に集うということが、心理的にも重要だと思っています。オフィスを持たないスタートアップは、ここをコワーキングスペースとして使うこともできます」と説明する。

 対象となるスタートアップは、ビジネスアイデアの事業化を加速させることを目的としたアクセラレータ・プログラムの参加企業。MUFGは今年、第2回のプログラムを実施し、応募120社あまりから選ばれた7社が3月から7月にかけての4カ月間をThe Garageで過ごした。

 各参加企業には、それぞれのビジネスアイデアに関心を持つMUFG各社の担当者がメンターとして付き、週1回以上のペースで意見を交わす。さらに、グループ外のベンチャーキャピタリストや企業経営者などからアドバイスを受ける機会も設けている。プログラムを通じてビジネスモデルを仕立て上げたスタートアップに対しては、MUFG各社が業務提携や出資を行う可能性が開ける。

 MUFGにとってのアクセラレータ・プログラムのメリットとは何か。藤井氏は「我々だけでは考えつかないようなスタートアップのアイデアや技術をいち早く使えれば、競争力のあるサービスを他社より先に提供できます。デジタルの世界では、他社に先行してマーケットリーダーとしての地位を確立し、収益を得られるようになることが重要と考えます」と話す。

 一方、スタートアップにとっては「メンターの知見を使ってビジネスアイデアの実行可能性を確認することで、検討期間を短縮し成功確率を上げることができます。また、我々が新事業の最初の顧客となる可能性がありますし、MUFGと組むことがスタートアップにとっては信用面での実績ともなるでしょう」(藤井氏)という。

 プログラム最終日には参加企業が検討成果を発表し、グランプリと準グランプリが選ばれる。今年のグランプリには、不動産に特化した投資型クラウドファンディングを提供するCrowd Realty(クラウドリアルティ、東京・千代田)が輝いた。準グランプリは、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」とブロックチェーンを組み合わせた新技術開発を行うNayuta(ナユタ、福岡市)と、割り勘アプリ「paymo(ペイモ)」などを展開するAnyPay(エニーペイ、東京・港)だった。

 また、昨年実施した第1回プログラムの参加企業からは、xenodata lab.(ゼノデータ・ラボ、東京・渋谷)が三菱東京UFJ銀行などから出資を受けるとともに、AI(人工知能)を使って企業の決算発表内容を自動分析するリポートサービスをMUFG傘下のカブドットコム証券に提供するなどの事例が生まれている。

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