フィンテック キーパーソンに聞く

「世界で起きていることを知る」から始める NTTデータ オープンイノベーション事業創発室長 残間光太朗氏

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 フィンテック(金融とテクノロジーの融合)をテーマとするグローバルイベント「FIN/SUM WEEK 2017」の開幕を機に、参加団体のキーパーソンに注目テーマや最新動向、新分野を切り開く意気込みを聞く。NTTデータのオープンイノベーション事業創発室長の残間光太朗氏はものすごいスピードで変化する世界のICT(情報通信技術)によるソリューションを知り、コンバージェンス(収れん)していけば、必ず日本が抱える課題の解決策が見えてくると強調する。

世界コンテストでアイデアを募集、新規事業にコンバージェンス

 「オープンイノベーション」――。NTTデータが新規ビジネス創出事業で掲げる大方針で、スタートアップは、社内でできるものではなく、社内外の技術やアイデアを掛け合わせて革新的な新事業を創出するという意味だ。同社は2014年にその名前を冠した組織「オープンイノベーション事業創発室」を立ち上げ、残間氏が初代室長に就任した。

NTTデータ オープンイノベーション事業創発室長 残間光太朗氏</p><p>

NTTデータ オープンイノベーション事業創発室長 残間光太朗氏

 オープンイノベーションへの取り組みは13年に始めたマンスリーフォーラム「豊洲の港から」がきっかけ。当初はNTTデータ社内の有志と取引先企業の数十人でスタートしたが、次第に口コミで「面白い」と評判が広がっていった。NTTデータ社内でも話題になり、オープンイノベーション事業創発室の設置につながった。スタートアップ企業と大企業、NTTデータを結ぶビジネスコンテストはそれから世界を舞台に拡大し、現在ではフィンテックなどさまざまなテーマでアイデアを競う年2回開催の国際コンテストに成長した。現在は東京、米サンフランシスコなど世界15都市を舞台にした「オープンイノベーションコンテスト7.0」を開催中で、残間氏は世界中を飛び回る毎日を送る。

 「今回のコンテストから対象都市を10から15に拡大しました。9月中旬は豪州メルボルン、インドのムンバイに行きます。コンテストの舞台を国内だけでなく世界に拡げたのは、ICTによる変化のスピードがものすごく速いからです。各都市で抱えている課題も違えば、問題の深刻さもバラバラ。混沌としていますが、いろいろなものが混じり合うのが大切です」

 1965年北海道生まれ。北大卒業後、NTTデータに入社。システム開発に従事したが、90年新設の「NTTデータ経営研究所」に自ら名乗りを上げて異動した。経営管理、新規ビジネス創出、マーケティング支援コンサルティングを担当。「システム屋」の印象は全くない。96年にNTTデータに戻り、インターネットによるモバイルバンキングサービスなどの新規事業に携わった。

 「まだ若かったから、社会の課題を解決してやろうという熱い思いがあったのでしょうね。でも初めて経験するコンサル分野で壁にぶち当たり、随分と己の無力さを感じました。一番印象に残っているのは、NTTドコモの『iモード』サービス立ち上げです。世界に普及し始めた1990年代初めには、まだおもちゃのような存在だったインターネットを使って、モバイルバンキングサービスを完成させた驚きと楽しさは忘れられません」

 その後、インターネットの隆盛時代に入り、マイクロソフトやアップルといった巨大IT企業だけでなく、グーグル、フェイスブック、アマゾンなどの新興企業が覇権を競う時代に入る。こうした中で、「iモード」という世の中を一変させる新事業のスタートアップを肌で感じた感覚がバックボーンになり、新規事業に何か必要かを見つめる鋭い目を研ぎ澄ませていった。

 「ICTの進展により世界のいたるところで変化が起き、しかもスピードがますます速くなっています。もはや先進国や一部の先端地域の企業が牛耳ることができる段階ではありません。混沌とした世界の課題をICTで解決するソリューションを誰が打ち出せるのか、誰にも分からない。これまで私たちが積み上げてきたソリューションと全く異なるものが登場してもよい状況です。だから、世界に目を向けて、起きている技術やソリューションを知り、それらをどうコンバージェンス(収れん)させていくかが重要です」

 もはや1社だけで解決策を見いだせる時代ではない。だからこそオープンイノベーションの手法が重要になるという。

 「ものすごいスピードで変わる世界のソリューションを早く知って、早く動いてほしい。勝ち残るにはそれしかありません」

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