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シニア社会に似合う「健康と死」を問う 松下博宣氏

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あなたは尊厳死をどう考えるか

 安楽死という死の方法論について賛否両論あるだろうが、もし私が末期がんになって回復の見込みが全くないとしたら「人間としての尊厳を保ったまま死にたい」という思いはある。延命だけを目的とした措置を行わずに死を迎える「尊厳死」は、安楽死とは違う、もう1つの死に方である。

 医療技術のイノベーションのため、回復の見込みが全くない状況でも、人工呼吸器や人工透析、胃ろうによる栄養補給などによって命を延ばせるようになった。しかし、これが患者に大きなストレスや苦痛をもたらすことがある。そのような延命措置を患者自身が拒み、人間の尊厳を保ちつつ死を迎えることが「尊厳死」だ。

 この意味における尊厳死は、米国では「自然死」であると受けとめられている。患者の「リビングウィル(生前の意思)」にもとづく尊厳死は、人権の1つとして、米国のほとんどの州で法的に許容されている。

 日本では、尊厳死の適法要件が示された判例がある。ただし、尊厳死について明示的に定められた法律はなく、日本で尊厳死が成立するケースは欧米と比べて極端に少ないという。尊厳死の是非についても多くの議論がある。

 ちなみに、リビングウィルの啓蒙や尊厳死の法制化運動を進める日本尊厳死協会のホームページに、「尊厳死の宣言書(リビングウィル)」のサンプルが掲載されている。文言は以下の通り。これに自筆署名して親族らに渡しておくのだという。

(1)私の傷病が、現代の医学では不治の状態であり、既に死が迫っていると診断された場合には、ただ単に死期を引き延ばすためだけの延命措置はお断りいたします。

(2)ただしこの場合、私の苦痛を和らげるためには、麻薬などの適切な使用により十分な緩和医療を行ってください。

(3)私が回復不能な遷延性意識障害(持続的植物状態)に陥った時は生命維持措置を取りやめてください。

以上、私の宣言による要望を忠実に果たしてくださった方々に深く感謝申し上げるとともに、その方々が私の要望に従ってくださった行為一切の責任は私自身にあることを附記いたします。

 あなたは、このような尊厳死の宣言書(リビングウィル)を残したいと思うだろうか。あるいは、あなたの親族から尊厳死の宣言書を見せられたら、どう思うだろうか。

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