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シニア社会に似合う「健康と死」を問う 松下博宣氏

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 ともあれ、元気活発期の健康課題は、元気を増進、維持し、健康寿命を伸ばすことでもある。これから紹介する驚異的なまでにスーパーヘルシーな人々の話を聞くと、老化のスピードを抑え、年をとっても健康を増進していけることがわかる。

 徳島県に住む85歳の伊賀正美さんは、以前は病弱だったそうだが、50歳から走り始めて健康を増進させたという。過去完走したフルマラソンやトライアスロンのレースは100回以上を数え、2011年に参加した阿波吉野川マラソンでは10キロメートルを1時間で駆け抜けている。

 百寿者(100歳以上の人)や超百寿者(105歳以上の人)のアスリートが多いのも、高齢化する日本の特徴だ。普通、100歳にもなれば寝たきりの人も多くなるが、あっと驚くほどアクティブな人たちだ。

 京都の宮崎秀吉さん(104歳)は、年齢別100メートル走の世界記録保持者だ。なんと92歳の時にマスターズ陸上大会(※)のことを知るに至り、一念発起して練習に次ぐ練習の日々を送ったという。そして、100歳のときに100~104歳男子100メートル走の部で29秒83の世界記録を打ち立てたのだ。

(※)5歳きざみの年齢別クラスで競う陸上競技大会

 宮崎さんは自身の健康の秘訣について、(1)今日できることは今日のうちに終え、安心して寝る、(2)食事は腹八分目、(3)借金はしない、などと述べているそうだが、こうした百寿者や超百寿者を対象とした長寿の研究も始まっている。

 超百寿者研究は比較的新しい分野なので、長寿につながる明確な因子はまだ十分に特定されていない。現時点では、大きく分けて2つの異なる考え方がある。1つは「生活習慣病に罹患しなければ100歳まで生きられる」という考え方、もう1つは「100歳まで元気で生きるためには、遺伝形質や特別な運動、習慣、栄養など特殊な素因が必要である」とする考え方だ。

 いずれにせよ、シニア世代の中核をなす団塊の世代は健康意識が非常に高く、自己表現欲も併せ持つとされる。団塊の世代から今後、社会起業したり、百寿者らを超えるパフォーマンスを示したりする人々が必ずや出てくるだろう。そうした人々が元気活発期の「生き方モデル」になることを大いに期待したい。

病気障害期:「健康とは何か」を問い直してみるべき

 健康寿命(自立した生活ができる期間)を過ぎ、日常生活に何らかの制限がある「不健康な期間」を、ここでは「病気障害期」と呼ぶことにする。いわゆる地域包括ケアシステムによって、ケアサービスを受ける人々が急増する時期だ。キュア(治療)とケア(たとえば介護)は入れ子構造をなしているので、正確には病気障害期にはキュアもケアも必要になってくる。

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