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元気印シニアの愉悦、「旅と健康」の幸福論 松下博宣氏

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 圧倒的多数のシニアは貴重なお金を「健康と旅」に使いたいと願い、それを実践するシニアは愉悦と幸福を見出している。今回は、北海道自転車旅行の道すがら出会った"元気印シニアの旅人"との交流を通して、「生き方」としてのシルバーイノベーションの可能性を考えてみたい。

三国峠へ至る峠道にて、筆者の愛車

三国峠へ至る峠道にて、筆者の愛車

 今夏、筆者は札幌の大学の客員教授として集中講義をする前の約1週間を使い、野営しながら自転車ツーリングで北海道をフィールド調査した。全行程約800kmの中で見聞した「過疎地のイノベーション」については、前回の『老いゆく日本、先行する過疎地の知恵に活路』で述べた。

 今回注目したいのは、北海道を訪れる旅人の群像である。過疎地ながらもキャンプ場、道の駅、観光地、空港などに、近年特に目につく風景がある。それは、見るからに健康そうな高齢者が活発に、そして楽しそうに動き回っている情景だ。はつらつと旅を楽しむ元気なシニアが増えているのだ。

 もちろん近年、北海道に限らず国内・海外を含めて高齢者ツーリストが増えてきている背景には、人口の高齢化が影響している。そんなこともあり、今回はシニア層と旅のかかわりあいを中心にして、ケアシフト現象やシルバーイノベーションの一端を考えてみたい。

特異で多様な高齢者ツーリスト

 5年ごとに行われる、総務省統計局の「平成21年全国消費実態調査」によると、2人以上世帯における1世帯当たりの家計資産は3588万円である。そのうち約56%が宅地資産となる。家計資産は70歳以上の世帯が最も多く、30歳未満の5.9倍に達している。単身世帯の家計資産も70歳以上が最も多い。そして、全金融資産の33%が60歳代、28%が70歳以上の世帯によって保有されている。要するに、全金融資産のうち、61%が60歳以上の高齢者によって保有されていることになる。

 旅に出ることができる高齢者は、経済的に比較的恵まれている富裕層が中心ではある。たとえば道の駅に併設されているキャンプ場では、シーズン中、多くのキャンピングカーが泊まっている。キャンピングカーが10台あれば、9台はシニアが運転している。1台500万~1000万円もする端正なキャンピングカーには、キッチン、シャワー、トイレ、寝室といった豪華な設備が備わっている。

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