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老いゆく日本、先行する過疎地の知恵に活路 自転車に乗って北海道過疎地をフィールド調査 松下博宣氏

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 少子高齢化、人口減少は、今や日本全体の問題だ。それらが既に深く進行した北海道の過疎地域には、「縮む経済」と「新しいエコシステムの芽生え」が同居する日本の近未来の姿がある。そこをベンチマークすることによって、貴重なヒントや教訓を得られるはずだ。今回は、つぶさに自転車で北海道の過疎地域を探訪し、そこで得た知見をもとに「過疎地域=課題先進地域」におけるケアシフトの現状をレポートする。

北海道の僻地、800kmを自転車で走る

大雪山系の東側にある国道273号の三国峠(標高は1139m)。自動車道としては北海道で最も高い峠

大雪山系の東側にある国道273号の三国峠(標高は1139m)。自動車道としては北海道で最も高い峠

 筆者は、札幌の大学の客員教授として集中講義をする前の約1週間を使い、北海道の過疎地域を自転車ツーリングで野営をしながら、放浪的なフィールド調査をすることにした。全行程約800km、宿泊はすべてテントと寝袋で、食事は自炊で済ませるアウトドア・ライフである。

 移動手段に自転車を選んだ理由は、自転車ツーリングが筆者の趣味であり、わが身の健康マネジメントの相棒でもあるからだが、もう1つ、重要な意味がある。平均時速約20kmのツーリング自転車によるスローな移動は、自動車による移動とは全く異なる世界を眼前に展開させてくれるからだ。

 美しい情景に遭遇すれば、すぐに立ち止まってその情景の中に静かに身を置ける。道で出合った人と気軽に話をすることもできる。そしてなによりも、五感を総動員することによって自然に密着できるし、地域の特色を肌で感じることができる。今回のフィールド調査には、特に必要なことだったと考えている。

8割が過疎、北海道の市町村が抱える問題

 わが国では1950年代以降の高度成長期を通して、農山漁村地域から都市地域へ、若者を中心に大規模な人口移動が起きて地方の過疎化が始まった。人口減少によって、保健・医療・福祉サービス、教育、防災など生活基盤に支障をきたすとともに、地域の経済活動が低下してきている。

 2010年に改正された過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)によると、過疎とは1960年から2005年までの45年間の人口減少率において、次のいずれかに該当する状態だ。

(a)人口減少率が33%以上
(b)人口減少率が28%以上で、2005年の高齢者比率が29%以上
(c)人口減少率が28%以上で、2005年の若年者比率が14%以下

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